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プラスチックとナノフィラー材:プラスチック材料の基礎知識(15)

2022.07.11

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この記事では…

ナノコンポジットやナノフィラーについて解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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ナノコンポジットとは、プラスチックにナノメーターサイズ(1nm~100nm)の超微粒子を分散させた複合材料である。ナノフィラーを分散させた材料がフィラーナノコンポジットである。ナノフィラーにはクレー、シリカ、カーボンナノチューブ、ナノ炭酸カルシウムなどがある。

半径rの球状フィラーがそれぞれ単独で分散し、全体積が1の時、Vの割合で分散していると仮定する。また、フィラー間の距離dは一定であるとする。このように仮定したときのフィラー間の距離dと粒子の全表面積Aは次式で示される¹⁾。

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式(1)から分かるように、体積分率Vが一定の場合には粒子半径rを小さくすると粒子間距離dは比例的に小さくなる。また式(2)から分かるように、粒子半径rが小さくなると全表面積Aは反比例して大きくなると理解できる。

例えば、半径が10μm(10⁴nm)の球状フィラーを10nmまで小さくしたとすると、半径の比は、以下である。

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従って、粒子半径を1000分の1に小さくすると粒子間隔は1000分の1に小さくなり、表面積は1000倍に増大することになる。

このようにフィラーサイズをナノオーダーまで超微粒子化するとフィラー間隔が小さく、かつフィラーの表面積も大きくなるので少量の充填率でもフィラーの影響が大きくなる。そのためフィラーナノコンポジットにすると強度、耐熱性、ガスバリヤ性(注1)などが向上する。

ナノフィラーは超微粒子であるため粒子間の凝集力が大きい。そのため、通常のコンパウンディング法(注2)ではプラスチック中にナノフィラーを均一分散することは困難であるので、いろいろな分散法が開発されている。

無機フィラーである層状珪酸塩(粘土鉱物の1種)を用いたポリアミド6(PA6)フィラーナノコンポジットの製造法を例に説明する。層状珪酸塩は厚みが1nm、長径が数10nm~数100nmの板状結晶が層状に積み重なった構造をしており、全体としては厚み数μm、長径が数10nm~数100nmである。フィラーナノコンポジット成形材料を作るには層状珪酸塩の一枚一枚を剥離してポリアミド6(PA6)中に分散させなければならない。

製造法の例を図1に示す²⁾。

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図1 PA6フィラーナノコンポジットの製造法

①層状珪酸塩を特殊化学処理して層間剥離しやすくする。

②化学処理した層状珪酸塩をPA6モノマー(εカプロラクタム)に分散させる。

③重合工程で層間剥離させてポリマー中に分散させてフィラーナノコンポジットを得る。

その他に特殊なコンパンディング法で溶融樹脂を層間に侵入させてナノ分散させる方法もある。

次回へ続く

執筆者注

注1:ガスを透過しにくい性質をガスバリヤ性という。食品包装用途では酸素ガスバリヤ性が求められる。
注2:素材(ポリマー)とフィラーを混合した後、押出機を用いて溶融混錬して成形材料(ペレット)を製造する方法

引用文献

1)中條澄著、ナノコンポジットの世界、p.21、工業調査会(2002)
2)山下敦志、合成樹脂、43(3),p.43(1997)


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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数