アンダーカットの処理方法の1つ、スライドコアの基本構造について解説します。
アンダーカットの処理その2 傾斜コアの基本構造:射出成形の基本(16)
2022.08.03
この記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
前回、アンダーカットの処理方法の1つとして、製品の外側へ処理するアンギュラースライドによる処理方法を紹介した。当然、アンダーカットの形状としては外側へ処理できない形状もある。

例えば、左の断面のようなフランジ形状の場合、フランジがアンダーカットとなるがアンギュラースライドのように外側へ処理することはできない。そのためこのようなアンダーカット形状の場合は内側へ処理する構造を設定する必要がある。
アンダーカットを製品の内側へ処理する方法として最も一般的な方法が傾斜コアによる処理方法で、突出板の突出しストロークを利用してア処理する方法となる。その基本構造は次のようになる。

傾斜コア:アンダーカット部分に設定されているコマ。この傾斜コアを可動させることでアンダーカットを処理する。ルーズコアなどとも呼ばれる。
スライドユニット:突出板の動き(エジェクターストローク)をアンダーカット処理する方向の動きに変換するためのユニット。このユニットについては、各金型メーカーで自作する場合もあるが、ミスミ社など金型部品メーカーにも標準部品がある。
シャフト:傾斜コマとスライドユニットをつなぐピン。
同じアンダーカットの処理でもスライドコアの時とはだいぶ構造が違うことが分かる。これらの部品で構成された傾斜コアは次のような動きでアンダーカット処理を行う。
1. 樹脂が型内に充填されている状態。型は閉じている。

2. 金型が開いた状態。この時点では傾斜コアの動きには影響はない。

3. 製品を取り出すために突出板が動く。
ここでシャフト及びスライドユニットによって突出板と連結されている傾斜コアも動きはじめる。傾斜コアは突出ピンのように、真っすぐに動くわけではなく、斜めに設定されたシャフトに従って斜めの方向に動く。

4.突出板が完全に動ききった時には、傾斜コアがアンダーカットから完全に外れる。
傾斜コアの移動量を決めるのは、突出板の移動量(エジェクターストローク)とシャフトの角度になる。突出板の移動量が大きければ大きいほど、また、シャフトの角度が大きければ大きいほど傾斜コアの移動量は増える。傾斜コアの移動量が足りないと、アンダーカット部分に傾斜コアが引っかかってしまい成形品や金型を破損してしまう原因になってしまうので注意して移動量を設定する必要がある。

5.製品を取り出した後、突出板が戻り、型が閉じる。突出板が戻るときに傾斜コアも元の位置に戻る。

再び樹脂が充填されたら、1からの動きを繰り返すことで、製品が成形が繰り返されていく。
(次回へ続く)

著書
『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』 (日刊工業新聞社)
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