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プラスチックの物理性質(1)―比重、密度:プラスチック材料の基礎知識(18)

2022.09.12

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この記事では…

プラスチックの物理性質のうち、比重と密度について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)


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比重は、次式に示すように比の値であるので単位はない。

    比重=(物体の質量)÷(物体と同体積の4℃純水の質量)

密度は単位体積当たりの質量であるので単位はg/cm³である。比重と密度は厳密には同じではないが、実用上はほぼ同じ値と考えてよい。以下では密度という用語を用いる。JISK7112(非発泡プラスチックの密度および比重測定法)の測定法の概略を表1に示す。

表1:プラスチックの密度測定法(JIS K7112)

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各種プラスチックおよび他材料(ガラス、金属)の密度を表2に示す。

表2:プラスチックと他材質の密度

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プラスチックの中ではポリメチルペンテンが0.82、ポリプロピレンが0.90であり最も小さい部類に属する。一方、大きいものはふっ素樹脂で2.14~2.20である。ガラスや金属材料(鉄、銅、アルミニウムなど)に比較して、プラスチックの密度は小さいことが特長の1つである。

プラスチックの密度が小さい理由は次の通りである。

プラスチックの主な構成元素は炭素C(原子量:12)、水素H(1)、酸素O(16)であり、いずれも原子量が比較的小さい元素から構成されている。ちなみに、アルミニウムAlの原子量は27、銅Cuは64、鉄Feは56、珪素Si(ガラスの主要元素)は28である。

プラスチックを構成するポリマーの間には空隙があるので、その分軽くなる。材料カタログの物性表に記載されている密度は、表1に示した方法で測定された代表値であるが、次の場合には密度は変化する。

結晶性プラスチックは結晶相と非晶相からなっており、結晶化度は結晶相の体積比率である。結晶相の密度は大きいので結晶化度が高くなると密度は大きくなる。物性表の密度は標準的な成形条件で成形された試験片の測定値であるが、実際の成形品では結晶化度によって密度は変化する。一般的に、金型温度を高くすると結晶化度は高くなるので密度は大きくなる傾向がある。

一般的に、強化材の密度はプラスチックの密度より大きいので、強化材を充填すると密度は大きくなる。強化材料の密度は強化材の密度と充填率に左右される。例えば、ポリアミド6(PA6)の密度は1.14g/cm³であるが、ガラス繊維の密度は2.5g/cm³である。ガラス繊維を30wt%充填すると繊維強化PA6の密度は1.37g/cm³となる。

材料カタログに示されている密度は標準条件(23℃、50%RH)で測定された値である。温度が高くなると体積膨張するため密度は小さくなる。等方性材料では温度と密度の間には、次の関係がある。

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上式から、温度Tが高くなると密度が小さくなることが分かる。

次回へ続く

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数