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PS(ポリスチレン)とは?: PlaBase プラスチック事典

2022.12.12

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PSとは…

PSはポリスチレン(Polystyrene)の略語。透明性が優れ、吸水率は低く寸法安定性が優れる、流動性がよく成形しやすい、食品衛生性に優れるなどの特徴がある。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

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[特徴]

①  一般用PSは透明性が優れ、吸水率は低く寸法安定性が優れる、流動性がよく成形しやすい、食品衛生性がよいなどの特徴があります。発泡させやすいことも特徴の1つです。

②耐衝撃性PSは不透明ですが、耐衝撃性が優れ、成形しやすいなどの特徴があります。

③シンジオタクチックPSは、エンジニアリングプラスチックに匹敵する強度、耐熱性、耐薬品性、電気特性を有しています。

PSは1935年にドイツで工業化されました。ドイツでは原料をスチロール、プラスチックをポリスチロールと称していましたので、国内でも一部にはこの名称が使われています。


国際規格(ISO)ではポリスチレン(Polystyrene)に、略語はPSに統一されています。我が国では1941年に生産開始され、現在はPE、PP、PVCに次ぐ生産量に成長しています。

PSは、スチレンという化学原料(モノマー)から作られます。スチレンを原料とするプラスチックは一般用PS(PS-GP)、耐衝撃性PS(PS-HI)、AS樹脂(SAN:スチレンアクリロニトリル共重合樹脂)を含めてスチレン系プラスチックと総称しています。さらに最近ではシンジオタクチックPS(SPS)も開発されています。AS樹脂については、後の記事で説明します。

PS-GP

スチレンのみを原料として作られたPSは広く使用されているので、一般用PSと称しています。ISO略語はPS-GP(General Purpose)です。PS-GPは透明性が優れ、吸水率は低く寸法安定性が優れる、流動性がよく成形しやすい、食品衛生性がよいなどの特徴があるので、食品容器、台所用品、食品トレイなどに使用されています。表1にPS-HIの用途と利用している特徴の関係を示します1)

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表1:PS-GPの用途例と利用している特徴

PS-GPは発泡させやすいことから発泡ポリスチレンシート(PSP)、ビーズ発泡ポリスチレン(EPS)、押出発泡ポリスチレン(XPS)などに加工されています。発泡させることによって、軽くなる、厚み効果によって変形しにくくなる、断熱性が良くなるなどの特徴が生まれます。PSPは食品トレイ、カップ麵容器、果物パックなどに、EPSは生鮮食品の輸送箱や家電製品の緩衝剤などに、XPSは住宅関連、土木建材などに使用されています。

射出成形した製品は脆いですが、フィルムに押し出すときに押出方向と垂直方向に2軸に引き伸ばす(延伸)と引張強度や衝撃強度が向上します。2軸延伸フィルムをOPS(Oriented
PS)と称しています。OPSは透明である、強い、印刷しやすい、食品衛生性が良いなどの特徴があるので総菜の簡易容器などに使用されています。

PS-HI

耐衝撃性PS、ハイインパクトPSなどとも呼ばれています。ISO略語はPS-HIです。PS-GPは耐衝撃性が低いですが、合成ゴム(例えば、ブタジエンゴム)をブレンドしたPS-HIは耐衝撃性が大幅に向上しています。PS-HIは不透明ですが、耐衝撃性が優れ、成形しやすいなどの特徴を生かしてエアコンハウジング、事務機器ケースなどに使用されています。

SPS

SPSはシンジオタクチックポリスチレン(Syndiotactic PS)の略語です。PS-GPに比較すると歴史は浅いですが、エンジニアリングプラスチックに匹敵する性能を有しています。スチレンからポリスチレンを作るときに、特殊な触媒を用いるとSPSが得られます。図1にPS-GPとSPSの分子形態の概念図を示します。

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図1:PS-GPとSPSの分子形態概念図

PS-GPは幹の分子(主鎖)に枝になる分子(側鎖)がばらばらな方向に結合しています。一方、SPSは主鎖に対して側鎖が規則的に交互に結合しています。このような分子形態であるため、PS-GPは非晶性プラスチックですが、SPSは結晶性プラスチックです。SPSは不透明ですが、耐熱性、耐薬品性、電気特性、成形性などが優れており、自動車部品、家電部品などの工業部品に使用されています。

なお、SPSを生産しているのは世界で出光興産1社のみであり、「ザレック」という商品名で製造・販売しています。

引用文献

1)本間精一著、プラスチック材料大全、p.72、日刊工業新聞社(2015)

   

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数