基本性質で理解すべきことは何か(2)
2018.09.12
-分子量、分解―
プラスチックは長い線状分子(ポリマー)の集まりです。分子の長さを表すのが分子量です。例えば、ポリエチレン(PE)の分子式は次のように表します。

同式は[CH₂-CH₂]がn個つながっていることを意味します。[CH₂-CH₂]を繰り返し単位、nを重合度と言います。重合度nが大きいほど、繰り返し単位が多くつながっていることを示します。繰り返し単位の分子量に重合度を掛けるとポリマーの分子量になります。従って、同じ分子式のプラスチックでは分子量が大きいほど分子の長さは長いことになります。ただ、プラスチックは小さい分子量のものから大きい分子量のものまで分布していますので、正確には平均分子量と表現します。また、実際のプラスチックは単純な線状分子だけではなく、枝分かれしたものもありますので複雑です。

分子量と強度の関係は、図に示す概念図の通りです。限界分子量以下では強度は急に低下しますが、限界分子量以上では分子量が大きくなるにつれて強度は徐々に強くなります。しかし、分子量が大きくなると流動性が悪くなるので、成形しにくくなります。そのため、強度と流動性の兼ね合いから、適切な分子量範囲の成形材料が使用されています。
プラスチックの分子は共有結合という強い結合で結びついています。そのため、成形品に力を加えても、分子が切断するのではなく分子の間から破断します。しかし、成形条件や使用条件によっては分子が切断することがあります。切断することを分解と言います。分解すると分子量が小さくなるので強度は低下します。プラスチックを分解させる要因には、熱や紫外線があります。
(1)熱分解
プラスチックは酸素のある条件下で高温に曝されると、熱と酸素の影響で熱分解を起こします。一般的に、温度が高いと短時間でも熱分解します。逆に、温度が比較的低くても長時間経過すると熱分解します。実用上では次のケースがあります。
[成形時の熱分解]
成形温度が高いと、シリンダ内での滞留中に熱分解します。また、温度が低い場合でもシリンダ内に滞留部があると長時間後に熱分解します。熱分解すると、成形品の変色や強度低下が起こります。
[高温長期間使用による熱劣化]
プラスチック製品を高温で長期間使用していると変色や強度低下が起こります。これも熱分解によるものですが、実使用条件で熱分解することを熱劣化という表現しています。因みに、JIS規格の用語では、劣化とは「特性に有害な変化を伴うプラスチックの化学構造の変化」と定義されています。
(2)紫外線による劣化
プラスチック製品を太陽光の紫外線が当たる環境に放置すると、長期間後に変色や強度低下が起こります。これは、プラスチックの分子結合エネルギーより紫外線エネルギーの方が大きいので、分子が紫外線を吸収すると分解することによるものです。紫外線の吸収は分子構造が関係しますので、プラスチックによって紫外線に弱いものや強いものがあります。また、太陽光線だけではなく、蛍光灯、水銀灯などからも紫外線が発生しますので、これらの光源にさらされても紫外線劣化することがあります。
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