PlaBase

TPE(熱可塑性エラストマー)とは:PlaBase プラスチック事典

2023.03.08

Image

TPEとは…

TPEは熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)の略語。TPEは加熱すると溶融して成形でき、冷却固化するとゴムのような弾性を示すプラスチックである。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

Image

TPE(「セプトン」クラレ製)が靴底に使用された例(出所:ニューバランス ジャパンのプレスリリース 

特徴

  • ① ゴムのような弾性を示すプラスチックです。
  • ② ゴムのように加硫をする必要がなく、射出成形、押出成形などで成形できます。
  • ③ リサイクルが容易です。
  • ④ 二材質成形によって硬質プラスチック表面にソフトタッチの感触を付与できます。


TPEは熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer)の略語です。TPEは加熱すると溶融して成形でき、冷却固化するとゴムのような弾性を示すプラスチックです。

図1に示すようにTPEは硬い成分(ハードセグメント)と軟らかい成分(ソフトセグメント)からなっています。

Image

図1 熱可塑性エラストマーの概念図

加熱するとハードセグメントが溶融するため成形できます。冷却するとハードセグメントは固化し、ソフトセグメントがゴム弾性を示します。  

TPEは1960年頃にデュポン社やバイエル社によってポリウレタン系TPE(TPU)が開発されました。その後いろいろなTPEが開発され、TPEはそれらの総称として使われています。ハードセグメントに対し、いろいろなソフトセグメントの組み合せがあります。ハードセグメントの成分によってオレフィン系TPE(TPO)、スチレン系TPE(TPS)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などに分類されています。

TPEは射出成形や押出成形ができることから、自動車、電気・電子、日用品、医療器具などに使用されています。また、軟質PVCやゴムに比較してリサイクルが容易であることも利点の1つです。

各種TPEの特性によって、次のように使い分けされています。TPOは比重が小さく、耐熱性や耐寒性が優れています。自動車のインパネやドアの表皮材、エアバック収納ケースなどに、建材分野では建築用ガスケットなどに使用されています。

TPSは柔軟性、弾力性に優れています。靴底、樹脂衝撃改質剤、アスファルト改質剤などに使われています。

TPVCは耐候性、耐油性、耐薬品性、耐寒性に優れています。自動車のモール、ウェザストリップ、水切りなどに、建築ガスケット、各種パッキン、ホースやチューブなどに使用されています。


TPUは耐摩耗性、耐寒性、耐油性などが優れています。ホースやチューブ、靴底などに使用されています。


TPAEは耐薬品性、耐摩耗性に優れており,消音ギヤー、人口芝などに使われています。

TPEの使い方の1つとして、硬質プラスチックとTPEを二材質成形することによって、硬質プラスチック表面にソフトタッチ感を付与できることがあります。その場合、硬質プラスチックとTPEが溶融接着しやすい組み合わせであることが必要です。例えば、PP とTPOのような組み合わせ例があります。図2に成形法の例を示します。

Image

図2 TPE二材質成形の概念図

①硬質プラスチックを成形します。

②型開きして可動型プレートを回転して硬質プラスチック成形品をTPE成形キャビティ

に移動します。

③型締めします。

④硬質プラスチックとTPEを同時に射出します。

⑤型開きして二材質成形品を取り出した後に、可動型プレートを回転して硬質プラスチック成形品をTPE成形キャビティに移動します。

成形スタート時には①と②を経ますが、その後は③、④、⑤を繰り返して二材質成形品を成形します。例えば、歯ブラシやビデオカメラのグリップには硬質プラスチックにソフトタッチTPEを二材質成形した例があります。

PlaBase プラスチック事典


Image

>>>>連載「PlaBaseプラスチック事典」一覧

本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数