PlaBase

PC(ポリカーボネート)とは:PlaBase プラスチック事典

2023.04.03

Image

PCとは…

PCはポリカーボネート(Polycarbonate)のISO略語。PCは炭酸エステル結合と呼ばれる分子鎖を有するポリマーの総称であるが、一般的にはビスフェノールAという原料(モノマー)から作られたものをPCと称する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

Image

自動車のヘッドランプレンズの例

特徴

①耐衝撃性が優れています。

②透明性が優れています。

③耐熱性が優れています。

④自己消火性です。

⑤寸法安定性が優れています。

⑥食品衛生性が優れています。

PCはポリカーボネート(Polycarbonate)のISO略語です。PCは炭酸エステル結合と呼ばれる分子鎖を有するポリマーの総称ですが、一般的にはビスフェノールAという原料(モノマー)から作られたものをPCと称しています。

PCは、1959年にドイツのバイエル社によって工業化されました。我が国では1960年に工業化されました。汎用エンプラの中では最も多く使用されています。

PCの特徴としては、まず耐衝撃性がプラスチックの中で最も優れていることが挙げられます。-30℃~-40℃の低温領域まで高い衝撃強度を保持しています。

透明性は、肉厚2mm~3mmでは光線透過率は85%~90%であり、メタクリル樹脂とほぼ同等です。

耐熱性は、-40℃~120℃の温度範囲で安定した機械的特性を有しています。

燃焼性は、自己消火性です。なお、自己消火性は着火源を離すと火炎が自然に消える性質です。難燃剤を添加することによってさらに高い難燃性を付与できます。

寸法安定性は、吸水寸法変化が少なく、クリープ変形も小さいです。

食品衛生性は、食品への溶出は少なく食品衛生規格(告示20号)に適合しています。

PCは、上記のような特徴を生かして、次の用途に使用されています。

電機・電子・事務機器分野では事務機器ハウジング、携帯電話ハウジング、スチームアイロンタンク、LCD導光板などに、光メディア分野ではCD、CD-R、DVDなどの基板に使用されています。自動車・車両分野ではヘンドランプレンズ、メーターカバー、アウタードアハンドル、サンルーフなどがあります。医療・保安分野では保安帽、保護メガネ、人工透析器や人工肺のケースなどに、機械分野ではカメラハウジング、メーターカバー、時計部品などに使用されています。

PCは押出成形によってシートやフィルムに加工できます。特に、シートはダイから押し出すときに鏡面ロールでプレスすることによって表面平滑性が優れたなシートに成形できるので、ガラス代替用途に使用されています。また、耐擦傷性や耐候性を改良したシート製品もあります。防犯窓ガラス、単車風防、カーポートの透明屋根材、渡り廊下のボールト、道路フェンスなどに、フィルムでは農業ハウス被覆材、カレー容器などに使用されています。

表1にPCの用途例と利用している特徴を示します。

Image

表1 PCの用途例と利用している特徴

例えば、ヘッドランプのレンズには、軽量性(ガラス比重の2分の1)、光線透過性、ランプ内部の温度上昇に耐える耐熱性、小石などが当たったときの耐衝撃性、形状設計の自由性などの理由で採用されています。ただし、PCは傷が付きやすく、太陽光線(紫外線)に長期間照射されると黄変や衝撃強度低下が起きるという課題があります。その対策としてランプレンズ表面には耐擦傷性や耐候性を改良するための特殊な塗装処理が施されています。

PlaBase プラスチック事典


Image

>>>>連載「PlaBaseプラスチック事典」一覧

本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数