PBTはポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)のISO略語。1971年に米国セラニーズ社がガラス繊維で強化した成形材料の標準材料として使用。ガラス繊維強化されたPBTはエンジニアリングプラスチックに分類される。
PBT樹脂とは:PlaBase プラスチック事典
2023.06.07
PBTとは…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

PBT(ガラス繊維強化PBT)の特徴
①強度・弾性率が高いです。
②クリープ変形が小さく、クリープ破壊強度も高いです。
③耐熱性が優れています。
④吸水率が低く、寸法安定性が優れています。
⑤耐有機溶剤や耐油性が優れています。
⑥耐アーク性、耐トラッキング性などが優れています。
⑦難燃剤を添加すると高い難燃性能が得られます。
PBTは「ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene terephthalate)」のISO略語です。PBTはテレフタル酸とブタンジオール(1.4ブタンジオール)という2つの化学原料から作られます。
PBTは1971年にセラニーズ社(米国)がガラス繊維で強化した成形材料を「セラネックス」という商品名で販売を開始しました。同社がガラス繊維強化PBTを標準材料としたのは次の理由によると推定されます。非強化PBTとガラス繊維強化PBTの物性比較を表1に示します。非強化PBTは荷重たわみ温度や曲げ強度、曲げ弾性率は低いですが、ガラス繊維で強化するとこれらの値が大幅に向上します。ガラス繊維強化すると耐熱性や機械的強度が著しく向上してエンジニアリングプラスチックになります。

表1 非強化PBTとガラス繊維強化PBTの比較
その後、我が国でもガラス繊維強化PBTが開発され、標準材料として使用されるようになりました。
ガラス繊維強化PBTの特徴は次の通りです。
①強度・弾性率が高いです。
②クリープ変形が小さく、クリープ破壊強度も高いです。
③荷重たわみ温度(1.80MPa)は215℃であり、耐熱性が優れています。
④吸水率が比較的低く、寸法安定性が優れています。
⑤耐有機溶剤や耐油性が優れています。
⑥耐アーク性、耐トラッキング性などが優れています。
⑦難燃剤を添加すると高い難燃性能が得られます。
このようにバランス取れた特徴を有していることから自動車、電機・電子などの内部機構部品として使用されています。
自動車関係ではイグニッションコイル、ワイヤーハーネスコネクタ、ECUハウジング、ランプリフレクター、バルブ類などがあります。電機・電子分野ではコネクタ、コンセントのボディおよび差し込み口、コイルボビン、スイッチ、クーリングファン、蛍光灯口金などがあります。機械分野ではガス・水道用部品などがあります。
表2にPBTの用途例と利用している特徴を示します。たとえば、コンセントボディおよび差し込み口は、差し込み金具のスプリング力に対する耐クリープ性、耐アーク性や耐トラッキング性、外力が掛かったときの強度・剛性、寸法安定性などの点からPBTが使用されています。

表2 PBTの用途例と利用している特徴
一方、非強化PBTは次の特徴があります。
①高靭性である。
②ガスを透過しにくい(ガスバリヤー性が優れている)。
③印刷インクが載りやすい。
④他の材質(金属、プラスチック)との接着性がよい。
これらの特徴を生かして、押出製品では食品包装用多層フィルム、金属や紙とのラミネート用フィルム、PETボトル用シュリンクフィルム、光ファイバーケーブル被覆材などに使用されています。
PlaBase プラスチック事典
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

