PESとは、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)のISO略語。1972年に英国ICI社によって工業化されたスーパーエンジニアリングプラスチック。ポリエーテルサルホン(またはポリエーテルサルフォン)と表現されることもある。
PES樹脂とは:PlaBase プラスチック事典
2023.07.24
PESとは…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

特徴
①耐熱性が優れています。
②高強度です。
③自然色品はやや着色していますが、透明です。
④耐熱水性や耐水蒸気性が優れています。
⑤難燃性であり、発煙も少ないです。
PESはポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)のISO略語です。ポリエーテルサルホン(またはポリエーテルサルフォン)と表記することもあります。PESは1972年に英国ICI社によって工業化されました。その後、同社はPES事業から撤退しましたが、国内外の他の会社で生産されています。
PESはジクロロジフェニルスルホンとビスフェノールSと呼ばれる2つの化学原料から作られたスーパーエンジニアリングプラスチックです。
次の特徴があります。
①耐熱性が優れています。荷重たわみ温度は200~220℃です。
②高強度です。弾性率は-110℃~200℃の温度範囲で変化が小さいです。
②自然色品はやや着色していますが透明です。
③耐熱水性や耐水蒸気性などが優れています。
④難燃剤を添加せずとも難燃性です。また、燃焼時の発煙も少ないです。
⑤アルコール、ガソリン、脂肪族炭化水素には耐性があります。
⑥食品衛生規格や各種医療規格に適合しています。
⑦耐放射線性が優れています。
これらの特徴を生かして次の用途に使用されています。
- 自動車用途:キャブレタ用コイルボビン、スラストワッシャ、フォグランプリフレクタ
- 電機電子用途:リレー、スイッチ、コイルボビン、コネクタ、ICトレイ、リフレクター
- 食品用途:食品トレイ、電子レンジ加熱用食器、熱水配管のパイプやバルブ
- 医療機器用途:血液分析機器、血液検査管、X線ウンドウ

表 PESの用途例と利用している特徴
表にPESの用途例と利用している特徴を示します。電子レンジ加熱用食器は繰り返し高温熱水洗浄に耐えること、電子レンジ加熱における温度上昇で変形しないこと、食品衛生規格に適合していることなどの理由で使用されています。
熱水配管のバルブは、高温熱水に対して耐性があること、内部の状態が見えること、高強度であること、食品衛生規格に適合していることなどの理由で使用されています。
PlaBase プラスチック事典
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

