機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、JIS製図における2D図面の「図形の表し方」について解説します。
正面図とは何か:機械製図道場(入門編 2)
2023.09.06
今回の記事は…
(執筆:土橋 美博/3D CAD推進者)
3D CADを中心に運用して設計するにしても、2Dの機械図面によって「設計者の意図を伝える」あるいは「設計者の意図を理解する」ことが重要であることには変わりありません。本連載では、機械製図の「入門編」として、製図実務を行う上で基本となることから解説しています。
前回は、「図面の一義性」と「図面の大きさ」について解説しました。今回は、「正面図とは何か」と「明瞭性」について解説します。
1. 正しく正面図を選択
「JIS Z8315-1:1999 製図-投影法-第1部:通則 3.4 主投影図(principal view)」では、「対象物の主要な特徴を表す図形」のことを「主投影図」と表現しています。この主投影図とは「正面図」を意味します。まずは簡単な質問です。
「ショベルカーをイメージしてください。ショベルカーの図面を描く時に、正面図はどう描きますか?」
.webp)
図1-1 ショベルカー(筆者著書を参考に作成)
答えは次の図になります。
.webp)
図1-2 正面図とは何か=機能を最も示す投影図(筆者著書を参考に作成)
ショベルカーの全体像が見えるものを正面図としました。
自動車でも、カタログにDIMENSIONS(四面図)のページがあり、正面図には、全長、全高、ホイールベースが記載されています。また、平面図には全幅、側面図にはトレッド前/後(トレッド:左右のタイヤ接地面の中心間の距離)が記載されていて、分かりやすい図面になっています。
では、機械部品では正面として表すべきでしょうか。
 (1).webp)
図2 ネジの正面 図3 ナットの正面 図4 Vブロックの正面
図2であれば、ネジの全長が見える向きがが最も機能を表しています。
図3のナット単体であれば、ナットが六角形に見える向きが、図4のV字ブロックであればV溝が見えている方向がが最も機能を表しています。
2D製図では、主投影図(正面図)に、設計者が考える「設計意図」が示されている必要があります。正面図を見れば、このモデルがどのような役目を果たす(機能を有する)ものなのかが一目で理解できるということです。
なお、製造業で運用が広まっている3D CADの設計においても、この考え方に基づいて図面を描くことが求められます。
2.明瞭性
図面には、明瞭性が必要となり、この重要な要素として線(線種)の扱いがあります。製図にはさまざまな線を使用します。筆者が普段使用している3D CAD「SOLIDWORKS」の例では、2D 製図を行うための設定として「ドキュメントプロパティ」の中に線種の設定があります。

図5 線種の設定
線種および線の優先順位については、「JIS B 0001:2019 機械製図 Technical drawings for mechanical engineering」に規定されています(JIS B0001の最新の改正は2019年です)。CADで使用する線種についても「JIS Z 8321:2000 製図-表示の一般原則-CADに用いる線 Technical drawings-General principles of presentation-Preparation of lines by CAD system」の中で規定されています。
次回は、「加工方法」などについて解説する予定です。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

