SANはスチレン-アクリロニトリル(Styrene-Acrylonitrile)共重合体のISO略語。1942年に当時のバイエル社(ドイツ)が工業化。日本ではAS樹脂と表示することが多い
SAN樹脂とは:PlaBase プラスチック事典
2023.08.30
SAN樹脂とは…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

特徴
①透明性が優れています。
②強度や弾性率が高いです。
③寸法安定性が優れています。
④耐溶剤性や耐油性が優れています
SANはスチレン-アクリロニトリル(Styrene-Acrylonitrile)共重合体のISO略語です。ISOでは共重合したプラスチックについては原料(モノマー)成分の組み合わせを略語にしています。我が国ではAS樹脂と表示することが多いです。
SANは1942年に当時のバイエル社(ドイツ)が工業化しました。その後、我が国でも生産されています。

表1 ポリスチレン(PS)とSANの比較
上述のようにSANはスチレンとアクリロニトリルを共重合したプラスチックであり、スチレン系プラスチックの1つです。表1にポリスチレン(PS)とSANの比較を示します。両樹脂ともに透明ですが、SANはPSより強度や耐油性が優れています。反面、流動性は低いのでPSより成形性は良くないです。
SANは次の特徴があります。
①透明です。
②強度、弾性率が高いです。
③寸法安定性が優れています。
④耐溶剤性や耐油性が優れています。
このような特徴を生かして自動車バッテリケース(ガソリン車)、扇風機の羽根、カセットテープのハウジング、ランプカバー、文房具などに使用されています。また、SANはABS樹脂の原料としても多量に使用されています。ABS樹脂はAS樹脂とブタジエンゴムをポリマーアロイにすることで衝撃強度が大幅に向上されています。

表2 SANの用途例と利用している特徴
表2にSANの用途例と利用している特徴を示します。
扇風機の羽根にSANが使用されています。採用理由は次の通りです。
①清涼感のある透明色に着色できる。
②弾性率が高いので回転したときの風圧による変形が小さい。
③寸法精度や寸法安定性が良く、そりも少ないので回転時のバランスが良い。
④軽いので、回転に要する電力消費が少ない。
PlaBase プラスチック事典
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

