PEEKはポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)のISO略語。PEEKは1981年に英国ICI社が生産・販売を開始。
PEEK樹脂とは:PlaBase プラスチック事典
2023.11.27PEEKとは…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

特徴
①機械的特性に優れ、特に耐疲労性はプラスチックの中では最も高い値です。
②耐熱性が優れています。
③難燃性です。
④耐薬品性が優れています。
⑤耐水蒸気性や耐温水性が優れています。
⑥耐放射線性が優れています。
⑦アウトガスが少ないです。
PEEKはポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)のISO略語です。PEEKは1981年に英国ICI社が生産・販売を開始しました。その後、英国ビクトレックス社が事業を引き継ぎ「ビクトレックスPEEK」の商品名で生産・販売しています。同社の基本特許が失効した後に、他の会社も生産販売しています。我が国では輸入販売またはPEEK素材を輸入して成形材料として販売しています。
PEEKは次の特徴があります。
①強度・弾性率が高く、耐クリープ性に優れ、特に耐疲労性はプラスチックの中では最も優れています。
②耐熱性が優れています。UL相対温度指数は260℃、機械的強度は300℃まで高い値を保持しています。
③難燃性です。UL94の燃焼性ランクでは難燃剤を添加しないで1.5mm厚でUL94V-0です。また、発煙も少ないです。
④耐薬品性が優れています。
⑤耐水蒸気性や耐温水性が優れています。
⑥ガンマー線、X線など耐放射線性が優れています。
⑦製品として使用した時の発生ガス(アウトガス)が少ないです。
以上の特徴を生かして次の用途に使用されています。
- 半導体製造装置:ウェハーバスケット、搬送用ローラーなど
- 自動車:電動パーキングブレーキギア、電動パワーシフトアジャスタギア、トランスミッション部品、エンジン関連部品、ステアリング部品など
- 事務機器:複写機の軸受けやギア
- その他:耐熱食器トレイ、医療器具など
表1にPEEKの用途例と利用している特徴を示します。ICウェハーバスケットは高温に耐えること、耐摩擦性が優れること、アウトガスが少ないことなどからPEEKが使用されています。

表1 PEEKの用途例と利用している特徴
PEEKと類似の分子構造のプラスチックにはポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などがあります。これらを含めてポリアリールエーテルケトン(PAEK:Polyaryletherketones)と総称しています。
同ポリマーの繰り返し単位中のエーテル結合(E)の比率が高くなると成形性が良くなりますが、耐熱性はやや低くなります。逆に、ケトン結合(K)の比率が高くなると耐熱性が向上しますが、成形性は低下します。PEEKは成形性と物性のバランスが取れているので汎用的に使用されています。
表2に示すようにKの比率が高くなると耐熱性は向上しています。耐熱性が要求されるときにはPEKやPEKK、PEKEKKなどが使用されています。特にガラス繊維30wt%強化PEKEKKは荷重たわみ温度(1.80MPa)が380℃であり、プラスチックの中で最高の耐熱性を有しています。

表2 PAEKと耐熱性
PlaBase プラスチック事典
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

