製品開発において欠かせない「試作」ですが、3つの段階に分けることができます。今回は、その段階に応じて、試作がどのような目的で行われるのかなど解説します。
量産前に試作を理解する:これってどうやって作るの?プラスチック製品のつくりかた④
2023.12.11
今回の記事では…
(執筆:落合孝明/モールドテック)
製品開発において、いきなり製品を量産するということはまずありません。量産する前に、試作・検証を繰り返し、製品仕様や設計の問題を洗い出します。
量産までには、以下のように、大きく3つ段階の試作を踏みます。
- その製品の機能や性能を確認・限定するための『原理試作』
- 市場ニーズや使いやすさを意識した外観を選定するための『デザイン試作』
- 原理試作・デザイン試作の結果を踏まえ量産を意識した『量産前試作』

開発環境によっては、この順番は前後したり省略されたりする場合もあります。例えば、原理試作とデザイン試作が同時に進行したり、デザイン試作の段階で量産前試作も考慮されたりなどです。しかし基本は、この3段階の試作を通して製品が作られると考えてください。
それぞれの試作に関して、以下にもう少し詳細をまとめます。
段階1.原理試作
その製品の機能や性能を確認する、あるいは必要な機能や部品を絞り込むための試作であるので、この段階では外観(見かけ)は全くこだわらない。例えば、「人が通ったことを検知してLEDが点灯する」といった装置の原理試作を行う場合の目的は、その仕様を満たすような基板やセンサー、LEDなどを選定すること。「部品交換などをしやすく作る」なども重要な要件になる。そのような性能確認などができれば良く、製品や筐体のデザインや細部形状は考慮しなくても良い。
段階2.デザイン試作
『デザイン試作』とは、上記の原理試作とは全く逆で、市場ニーズや使いやすさを意識した外観に主眼をおいた試作。人間工学や使用環境に従って進める。もし『原理試作』で内部構造が決まっていれば、それらが納まるような筐体や部品の形状にする。例えば、シャワーヘッドのような、手で持つ製品の場合であれば、持ち手に合わせて複数の形状を製作し、さらに最適な形状を絞り込むといったことを行う。昨今では3Dプリンターの低価格化および普及によって試作が容易になったため、形状の選定が非常にしやすくなった。
段階3.量産前試作
『原理試作』『デザイン試作』の段階では、量産は意識されずに試作されている。そのため『量産前試作』の段階に来ると、金型を用いて、任意の数量の製品を効率よく製作できるように設計を見直し、それを試作・検証を行う必要がある。この段階で、原理やデザイン(形状)の一部を見直さなければならないなど影響が出ることもあり得る。特にデザインにおいては金型製作を意識して製品設計を行うと、デザインの印象が大幅に変わってくる場合もよくあるので、設計者とデザイナー、それぞれの意図のすり合わせや議論が重要となる。
それぞれの段階で試作・検証を繰り返し、満足する結果を得られれば試作の結果を踏まえていよいよ量産へと移行することになります。
(次回につづく)
>>>>連載「これってどうやって作るの プラスチック製品のつくりかた」一覧
著書
『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』 (日刊工業新聞社)
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