PPEはポリフェニレンエーテル(Polyphenylene ether)のISO略語。PPEは1965年に米国GE社が生産・販売を開始。PPEは成形しにくいため、ハイインパクトポリスチレン(PS-HI)とアロイ化させ、変性PPE(mPPE:modified PPE)と称す。
変性PPE樹脂とは:PlaBase プラスチック事典
2024.01.22
変性PPEとは…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

特徴
- ①ポリマーアロイ材料です。
- ②標準組成品の比重は1.06であり、エンプラの中では最も小さいです。
- ③荷重たわみ温度(1.80MPa)は組成によって90℃~170℃と幅広い品種があります。
- ④耐温水性、耐アルカリ性、耐酸性などの耐薬品性に優れています。
- ⑤難燃剤を添加することによって、難燃性になります。
- ⑥吸水率は低く、吸水による寸法変化が小さいです。
PPEはポリフェニレンエーテル(Polyphenylene ether)のISO略語です。PPEは1965年に米国GE社が生産・販売を開始しました。同社はポリフェニレンオキサイド(PPO)と称していましたが、現在ではPPEに用語が統一されています。
PPEは成形しにくいため市場開発が進みませんでしたが、ハイインパクトポリスチレン(PS-HI)とポリマーアロイにすることで、成形材料として広く使用されるようになりました。この材料を変性PPE(mPPE:modified PPE)と称しています。同社はこのポリマ―アロイ材料を「ノリル」という商品名で1967年に生産・販売しました。その後、同事業はサウジアラビアのSABICイノべーティブプラスチックスに売却され、生産・販売が継続されています。mPPEは国内でも生産・販売されています。
mPPEはPPEとPS-HIの組成比を変えることで、耐熱性、耐衝撃性、成形性(流動性)を要求に応じて変えることができます。また、難燃剤を添加することで難燃化することもできます。
特徴は次の通りです。
①ポリマーアロイ材料であるので、配合比率によって耐熱性、耐衝撃性、流動性を変えることができ、かつ難燃化も容易です。
②標準組成品の比重は1.06であり、エンプラの中では最も小さいです。
③荷重たわみ温度(1.80MPa)は組成によって90℃~170℃と幅広い品種があります。
④耐温水性、耐アルカリ性、耐酸性などの耐薬品性に優れています。
⑤難燃剤の添加によって、UL94の燃焼ランクでは0.8mmの厚みでV-1~V-0の難燃性能が得られます。
⑥吸水率は低く、吸水による寸法変化が小さいです。
このような特徴を生かして、次の用途に使用されています。
- 自動車用途:インストルメントパネル、ラジエータグリル、ホイールキャップ、フェンダーなど
- 事務機器用途:ファクシミリや複写機のシャーシ類、トナーカートリッジ、複写機ドラムなど
- 電機・電子用途:ICトレイ、ACアダプター、コイルボビン、スイッチなど
- 機械用途:温水ポンプハウジングやインペラ、カメラ部品など
表にmPPEの用途例と利用している特徴を示します。例えば、温水ポンプのインペラやハウジングに使用されています。耐温水性に優れ、かつ寸法精度や寸法安定性が優れていることが採用の理由です。

表 mPPEの用途例と、利用している特徴
PPE系ポリマ―アロイには、ポリアミドやポリオレフィンとのアロイもあります。これらのアロイはPPEの成形性(流動性)を向上させるとともに、耐有機溶剤性、耐油性などの耐薬品性も改良されています。
PlaBase プラスチック事典
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

