機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、数ある断面図の中で「全断面図」と「片面断面図」について解説します。
「全断面図」と「片面断面図」:機械製図道場(入門編7)
2024.02.19
今回の記事は…
(執筆:土橋 美博/3D CAD推進者)
前回は、基本的な断面図について解説をしましたが、断面図と一言でいってもさまざまな使い方があります。筆者の解釈で整理した限りでもこれだけの種類があります(図1)。

図1 断面図の種類
「断面図」の種類については「JIS Z8114-1999 製図-製図用語」に記載されています。図1は筆者がそれを参考に体系化したものです。
筆者自身、これら全てを使用したことはありませんが、いずれにせよ「断面図」は設計製図において重要な図形の表し方の1つの方法です。
全断面図
「全断面図」とは、1個の切断面により、その対象物(製品・部品)の基本になる中心線(「基本中心線」といいます)に沿って切断したもののことをいいます(図2)。

図2 全断面図
この場合には、切断した箇所が明確なので、「切断線」を描く必要はありません。切断線については、この後、説明します。
図2にあるように、断面の切り口の向こうに見える「外形線」を「実線」で描く必要があります。では「かくれ線」を「破線」で描く必要はあるのでしょうか。断面図の目的は「投影図では分かりにくい部分を明瞭に示すこと」なので、不必要な「かくれ線」を描く必要はありません。
図3のように「かくれ線」を描くと、分かりにくい図面になってしまいます。

図3 かくれ線が描かれた分かりにくい断面図
また図4のように設計意図を伝える上で不必要な「かくれ線」を描かずに、明瞭な「断面図」にする必要があります。

図4 分かりやすい断面図
SOLIDWORKSの場合では、「切断線」を表示した上で断面図を作成しますが、作成後に「切断線」を非表示化することができます(図5)。

図5 SOLIDWORKSで切断線を非表示にする
ここまで説明したように、「基本中心線」を切断面にする場合は「切断線」を描く必要はないといいましたが、この「切断線」の使用目的とその効果は何でしょうか。
図6のように「基本中心線」だけでは任意の断面を表すことができない場合は、切断する場所を明確にすることと、断面を見る方向を示す必要があります。

図6 切断線を使用した断面図
この切断線は一点鎖線を使用し、その両端には短い太実線を入れ、両端の太実線には矢印を付けます。その矢印の向きは「断面を見る方向」を表しています。
片側断面図
「片側断面図」とは、対象中心線を境にして外形図の半分と全断面図の半分とを組み合わせて描いた断面図のことをいいます(図7)。

図7 片側断面図
この断面図では、基本中心線を通る直角な2つの切断面によって描かれます。「片側断面図」は、「外形図」と「断面図」の形状を1つの図で示すことができることによって図面の一義性の効果があります。
SOLIDWORKSの場合は、図8のように「半断面」という機能を使用することで「片側断面図」が作成できます。

図8 SOLIDWORKS「半断面」機能による「片側断面図」作成
次回も、「断面図」の解説が続きます。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

