機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、「断面図」について解説します。
外から見えない形状を表現する「断面図」とは:機械製図道場(入門編6)
2024.01.15
今回の記事は…
(執筆:土橋 美博/3D CAD推進者)
前回 まで、第三角法の面だけでは形状やサイズなどを正しく表すことのできないものを「補助投影図」により表現する方法を解説しました。形体は外から見るだけではなく、目に見えない内部を表す必要があります。1つの方法としては、「隠れ線(破線)」で表すこともできますが、この表し方は必ずしも「分かりやすい図面」ではない場合もあります。このような場合には「断面図」を使用します。
今回は、この断面図による図形の表し方について解説していきます。
6.断面図とは
断面図については、「JIS B 0001:2019 機械製図 Technical drawings for mechanical engineering」で、次のように規定されています。
10.2 断面図(※JIS B0001:2019より抜粋/編集)
10.2.1 一般事項
一般事項は、次による。
a)隠れた部分を分かりやすく示すために、断面図として図示してもよい。断面図の図形は、切断面を用いて対象物を仮に切断し、切断面の手前の部分を取り除き、10.1(※注1)に従って描く。
※注1:10.1には「投影図の表し方」が記述されています。
b)切断したために理解を妨げるもの又は切断しても意味がないものは、長手方向に切断しない。
例1:リブ(例えば歯車の)、アーム、歯車の歯。
例2:軸、ピン、ボルト、ナット、座金、小ねじ、リベット、キー、玉(鋼球、セラミック球など)、ころ(円筒ころ、円すいころなど)。
c)切断面の位置を指示する必要がある場合には、両端及び切断方向の変わる部分を太くした細い一点鎖線を用いて指示する。投影方向を示す必要がある場合には、細い一点鎖線の両端に投影方向を示す矢印を描く。また、切断面を識別する必要がある場合には、矢印によって投影方向を示し、ラテン文字の大文字などの記号によって指示し、参照する断面の識別記号は矢印の端に記入する。断面の識別記号(例えば、A-A)は、断面図の直上又は直下に示す。
d)断面の切り口を示すために、ハッチングを施す場合には、切り口は次による。注記
ISO 128-50(※注2)では、断面及び/又は切り口にはハッチングを施すと規定している。
※注2:ISO 128-50は国際標準化機構規格(ISO)による規格で、Technical Drawingでは製図について書かれています。
それでは、図1のような題材を用いて三面図と断面図で作成し、どちらが内部形状を示すのに「分かりやすい図面」であるかを比べてみましょう。

図1 参考図
図2のように「外形線」と「隠れ線」で表すことはできますが、内部空間の状態が分かりにくくなっています。

図2 「外形線」と「隠れ線」で描いた図面
図3のような図面の表し方のことを「断面図」といいます。

図3 断面図を追加した図面
図2の場合の隠れ線では不明瞭だった内部空間が外形線だけで表され、誰が見てもその状態をよく理解できるものとなります。つまり、「理解できる図面=一義性のある図面」であることが重要です。
図3のような断面図では、図4のように中心を通り矢印で示されたようにA-A間を通る面で断面を作成し、矢印の方向に見ています。これを「全断面図」といいます。

図4 断面図を作成するための面(3D CAD「SOLIDWORKS」での例)
断面図の種類については、「JIS Z8114-1999 製図-製図用語Technical product documentation−Terms relating to technical drawings」に記載されています。
筆者自身、これら全てを使用したことはありませんが、断面図は製図の世界で非常に重要な図形の表し方の1つですので、ぜひポイントだけでも押さえておいてください。
次回は、その他の主な断面図についてお話します。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

