機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。前回に引き続き、断面図に関する解説。今回は、「部分断面図」など、いろいろ解説します。
まだまだいろいろ断面図:機械製図道場(入門編8)
2024.03.13
今回の記事は…
(執筆:土橋 美博/3D CAD推進者)
前回に続き、「断面図編」です。今回も、さまざまな断面図について解説を続けます。
部分断面図
「部分断面図」とは、図形の大部分を外形図とし、必要とする要素の一部分だけを断面図として表したもののことをいいます。図面の見たい一部分だけを示す場合に使用します。この例では、横に張り出した一部についてのみをSOLIDWORKSの部分断面作成機能で描きました。
この時、破断した部分を破断線として表す必要があります。

図1 SOLIDWORKS「部分断面」機能による「部分断面図」作成(SOLIDWORKS)
回転図示断面図
「回転図示断面図」とは、描いた図の投影面に垂直な切断面で描いた切り口を90度回転させて、その投影図に描いたもののことをいいます。筆者は使用したことはありませんが、長尺の部品図などの切り口を表す場合に、切り口の場所、または切断線の延長線上に断面図を表します。

図2 回転図示断面図(出典:JIS B0012019 機械製図 新日本法規 機械要素JIS要覧)
角度を利用した断面図
断面図を使用する場合、切断線は表し方に応じて、角度を変更したり、直交する断面を作成および組み合わせたりして、階段状に表すことができます。このようなものを「角度を利用した断面図」といい、その角度により「直角断面図」「鋭角断面図」があります。
SOLIDWORKSの例では、切断線を「カット線」という名称で用途に応じて選択し、編集することが可能です(以前解説した「半断面図」の作成についても選択と編集が行えます)。

図3 直角断面図と鋭角断面図(SOLIDWORKS)
必要な部分を合成した断面図(階段断面図)
JISB0001:2019 機械製図には、「断面図は,平行な二つ以上の平面で切断した断面図の必要部分だけを合成して示してもよい。この場合,切断線によって切断して位置を示し,組合せによる断面図であることを示すために,二つの切断線を任意の位置でつなぐ。」と標準化されています。
また、「曲管などの断面を表す場合には,その曲管の中心線に沿って切断し,そのまま投影してもよい。」とも記載されています。
これがどのようなことを表しているのか、以降で説明します。
階段断面図

図4 階段断面図説明用モデル

図5 階段断面図作成(SOLIDWORKS)
図5のように階段断面図では、異なる部分を1つの断面図として表します。
同じ切断面上では同一のハッチングを行いますが、階段状の切断面の各段に現れる部分を区別する必要がある場合には、ハッチングをずらして引く場合もあります。
経路(曲がりに沿った)による断面図
曲管などの断面図は、その曲管の中心線に沿って切断し、そのまま投影することで表します。なお、この「曲がりに沿った断面図」と次に紹介する「薄肉厚物の断面図」について、筆者は使用したことがないため、SOLIDWORKS(2D)ではなく、JISに記載されている図を用いています。

図6 経路(曲がりに沿った)による断面図説明用モデル

図7 経路(曲がりに沿った)による断面図(SOLIDWORKS)
一連の断面図
複雑な形状の対象物を表す場合には、図8に示すように必要に応じて多数の断面図で表すことができます。

図8 一連の断面図(SOLIDWORKS)
3D CADは、設計した3Dモデルから2D図面を作成する機能を持っています。
しかし、その機能で作成する2D図面が全てJISに完全に準拠しているわけではなさそうです。そのため、設計者自身が可能な方法で、誰もが理解できる「分かりやすい図面」を作製する必要があります。
今回で断面図の解説は終わりです。次回より、「寸法(サイズ)」を取り上げます。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

