機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、端末記号など寸法の記入要素について解説します。
寸法線の記入要素いろいろ:機械製図道場(入門編10)
2024.06.03.webp)
今回の記事は…
(執筆:土橋 美博/スワニー CIO、3D CAD推進者)
寸法線は、指示する長さまたは角度を測定する方向に平行に引きます。寸法線の両端には矢印などの端末記号を付けます。いよいよ端末記号という語句が出てきたので、今回は寸法線の記入要素について解説します。
>>前回「「寸法」と「サイズ」の違いとは」
寸法線と端末記号
「JISZ8317-1:2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則」には、下図のように示されています。
5.1 一般事項 寸法記入要素は,寸法補助線,寸法線,引出線,端末記号,起点記号及び寸法数値(基準寸法)である。寸法記入要素を図3,起点記号を図3及び図62〜図64に示す。

・Z 8317-1:2008 寸法線の記入要素
寸法線は、指示する長さまたは角度を測定する方向に平行に引きます。寸法線の両端には端末記号を付けます。この端末記号についてもJISに示されています。
5.3 端末記号及び起点記号 5.3.1 図11に示す端末記号及び図12に示す起点記号の大きさは,附属書Aによる。 5.3.2 寸法線の端末は,図11に示すいずれかを用いる。

・Z 8317-1:2008 端末記号
1枚の図面の中では、寸法補助線の間隔が狭くて矢印を記入するスペースがない場合は、上図(f)のように黒丸と矢印(場合により斜線も使用可能る)の組み合わせで寸法線を描きます。筆者もたびたびこの組み合わせの寸法線を描きますが、十分なスペースがある場合に、端末記号を混用するのは望ましくありません。
なお、記号の大きさについては、JIS文中にあるように附属書A に示されています。

Z 8317-1:2008 附属書A (規定) 図示記号の大きさより
CADにも端末記号の設定が下図のように用意されています。

図1 SOLIDWORKSのドキュメントプロパティから選択できる寸法線の端末記号

図2 ZWCADの寸法スタイル設定画面
様々な寸法線の描き方
次に、さまざまな形に対しての寸法線の描き方を解説します。
(1)角度寸法
角度寸法を記入する寸法線は、角度を構成する図形の2辺または延長線(寸法補助線)の交点を中心として描いた円弧を寸法線にします。また、形体の二平面や円すい形体は、その母線(二平面や円すい表面の延長線として描かれた角度をもった線)の間に描かれた円弧を寸法線とします。(図3)

図3 角度寸法の描き方
(1)隣接/関連する寸法
寸法線が隣接して連続する場合、寸法線は一直線上にそろえて記入することがよいとされています。また、機能上関連する部分の寸法は、一直線上に記入することで、図面にその意図を示すことになります。(図4)

図4 隣接/関連する寸法の描き方
(3) 段差がある形体間の寸法
段差がある形体間の寸法記入は、次のいずれかの方法で描きます。
- 形体間に対して直列寸法を指示(図5 左)
- 累進寸法によって、一方の形体側に起点記号を、他方の形体側に矢印を指示(図5 右)

図5 段差がある形体間の寸法の描き方
形体とは“かたち”“ありさま”を示します。ここで直列寸法と累進寸法という用語が使用されていますので、その説明をします。
(4)寸法の配置方法
寸法配置には「直列寸法記入法」「並列寸法記入法」「累進寸法記入法」「座標寸法記入法」などの記入法があります。それぞれ目的に沿った使用が必要です。その特徴について解説します。
直列寸法記入法:直列に連なる個々の寸法に与えられる公差が次々に累積してもよい場合に使用します(図6左)。
並列寸法記入法:直列寸法表示と異なり、並列に寸法を記入することで、個々の寸法に与えられる公差は累積しないので、公差の累積を許さない場合に使用します。なお、共通側の寸法補助線は、加工基準やその部品の機能上の基準になる位置に設定します(図6右)

図6 直列寸法記入法と並列寸法記入法
累進寸法記入法:並列寸法記入法と同じ意味になり、個々の寸法に与えられる公差の累積は許しません(図7)。また累進寸法では、寸法の起点(0 ゼロの位置)に起点記号の〇が示されています。

図7 累進寸法記入法と並列寸法記入法
公差と公差の累積については、別の機会に解説します。次回も寸法の記入方法について解説します。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

