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ソリッドやポリゴンなど3Dデータや図面のこと:ゼロから始めるプラスチック部品の試作・製作(2)

2024.07.10

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この記事では…

プラスチック部品の製作や試作を依頼するにあたって基本的な事項について解説する連載。第2回は、プラスチック部品を作りたい時に用意する3Dデータや図面の基本的なことについて説明する。

(執筆:小林由美/facet,監修:泉 規靖/金森産業 PlaQuick)



⁠前回は、プラスチック部品を制作しなければならないシチュエーションや、制作を依頼するにあたって考えておかなければならないことについて解説しました。今回は、プラスチック部品を製作する際に「こういう大きさで、こういう形で作って」と指示するために欠かせない情報である、3Dデータや図面、部品表について、基本的なことを説明します。

3D データのいろいろ

3Dデータは、3D CADで作るデータです。3Dデータは、「ソリッドデータ」「サーフェスデータ」 「ポリゴンデータ」に大別されます。

⁠以降、少々細かく説明しているのですが、「なんか、ややこしいんですけど」と思った方は、ざっくり「ポリゴン」だけは、「ほかの2つとデータの性質が大きく違う」というのと「寸法やスケールの概念がない」というのと、「3Dプリンターはポリゴン主流」ということを覚えていってください。

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ソリッドデータの例(「第三角法って何?――投影図について」より)


ソリッドデータは体積(中身が詰まっている)や寸法、スケールの概念が含まれます。大手メーカーに多く導入されている「CATIA」「SOLIDWORKS」 「NX」 「「「Creo」」 「Inventor」といった3D CADはソリッドデータでモデリングします。ソリッド系データの拡張子としては、ここで挙げた主流CAD専用の拡張子と、パラソリッド(.x_t)、STEP(.stp)、SAT(.sat)といった「中間ファイル」といわれるどのソフトでも読めるデータ形式があります。

サーフェスデータは、表面だけ(皮だけ)のデータ(中身が空)ですが、寸法やスケールの概念が含まれます。CADの歴史的には、ソリッドよりもサーフェスが先輩です。サーフェスが得意なCADとしては「Rhinoceros」がよく知られています。サーフェスデータ、複雑で微細な自由曲面の処理に強いことから金型関係の設計現場で好まれます。またサーフェスのデータはソリッドのデータに比較的容易に変換できます(データ形式の相性では化ける場合もありますが……)。ここで挙げたCAD専用の拡張子と合わせ、中間ファイルとしてはIGES(.iges、.igs)が有名です。ソリッドと同様にSTEP(.stp)もサーフェスに対応します。

⁠中間ファイルを仲介せずCAD専用データを直接、加工依頼先にも直接渡せた方が、データが化けづらくなって情報伝達もスムーズにはなりますがCADのライセンス費用がそれなりにかかることから部品製作では中間ファイルを提供する場合が多くなります。

⁠またソリッドデータもサーフェスデータも、寸法を入力して3Dデータを作ります。切削加工や金型製作などものづくりに使用するデータも、ソリッドかサーフェスです。しかし、ポリゴンのデータだけは違います。そして、3Dプリンターを使いたい場合も、ポリゴンデータのことを基本程度知っておく必要があります。

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ポリゴンデータの例:微小な三角形により形状を表現する。このデータも中身は空。
⁠「3Dスキャナーや3Dプリンタで、プラ博世とプラべくんのフィギュアを作ろう」より


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⁠ポリゴンデータは、もともとゲームなどのCG(コンピューターグラフィックス)の用途が多いデータです。ソリッドデータとは生まれが異なります。ポリゴンデータには寸法やスケールなど物理空間での大きさを示す概念がなく、形状そのものがデータとして存在します。このデータを作るのは、CADというよりは「CGソフト」で、まるで粘土をこねるようにして3D形状を作り、寸法の入力は行いません。

⁠ポリゴンデータには寸法の概念がないので、ものづくり業界では比較的マイナーな存在だったのですが、この十年くらいで変わりました。それは、3Dプリンターを活用することがすごく増えたからです。

寸法の概念が必要なはずの3Dプリンターは、STL(.stl)というポリゴンデータの一種を扱う場合が多いです。データを取り込む際に装置側のプログラム処理で、作りたいサイズになるようにスケールの調整をします。なお、ソリッドデータをメインに扱うCADでは、今はほとんど、ソリッドデータからSTLに変換してエクスポートすることができます。ものづくりの現場ではそうしてデータを作ることが大半です。逆に、CAD側にSTLが読み込むと、形状がモデリング空間に現れるだけで、面やエッジが選択できない場合がよくあります(処理できる機能を備えたCADもあります)。

⁠3Dプリンタブームで話題になった「Autodesk Fusion」(旧・Fusion360)は、ポリゴン、サーフェス、ソリッド、いずれのモデリングに対応し、製図機能もあります。

⁠参考「点群データ」
ついでながら、3Dスキャナーのデータとしてよく聞く「点群データ」なのですが、これは、いわば点の集合で形状を示す(立体の点描画みたいな感じ)データで、ポリゴンでもソリッドでもサーフェスでもありません。そして、データがものすごく重たいです。これを直接、ものづくりで使うことはないので、ここでは説明を省きます。豆知識程度に覚えておいてください。


図面

図面は、メーカーでは一般的にJIS(日本産業規格)のルールにのっとった図面を用意します。昔は手書きで書かれていましたが、現在は2D CADを使って用意します。上記で挙げたメジャーな3D CADには図面を作成する機能が必ず付いています。

⁠しかしながら図面を用意するか否かは、現在はものづくりにかかわる会社や人が多様化していることもあって、目的や場合によっては(おおよそ、非常に小規模なチームや個人でプロジェクトが完結する場合、趣味の工作で作る場合など)、JISルールによる図面ではなく、作りたいものの外形や穴位置などがおおざっぱに示された手書き図(ポンチ絵)で十分である場合もあります。また図面は不要で、3Dデータだけ用意できれば製作できる場合もあります。

⁠なおJISの図面には、表題欄で個数や材料などの情報を指定します。

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JISの図面の例
⁠「図面枠の見方や単位について」より


⁠参考:機械図面を読むための、基本の基


⁠部品表

部品表は複数の部品がある場合に提出しますが、これも製作物が単品であったり、数点程度であったりする場合は添付しない場合もあります。部品名称と併せて、個数や材料を明記します。こちらもJISにより形式が定められていますが、小規模な組織や個人のものづくりではその形式に沿っていない場合もあります。


⁠次回以降は、目的に応じた工法について解説をします。

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>>>>連載「ゼロから始めるプラスチック部品の試作・製作」一覧 




執筆者プロフィール

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⁠小林 由美
(こばやし・ゆみ)
⁠ライター、編集者。町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験。後、大手メディアの編集記者として約12年間、技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。2020年5月に個人事業 facetとして独立。

監修者プロフィール

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⁠泉 規靖
(いずみ・のりやす)
⁠PlaQuick事業部/金森産業株式会社 東京営業所
⁠1993年金森産業株式会社入社。30年間、試作の業界に携わりながらm3Dデータを活用したモノづくりサービス『PlaQuick』のブランディングに従事する。趣味のサッカー、スノーボードともに指導者の資格を所得して高校/大学サッカー、Jクラブ、海外クラブとの関係づくりも構築。富山県出身。

PlaQuickについて(金森産業)

試作から量産までプラスチック・樹脂の成形の課題をトータルサポート。簡易見積もりは入力後約30秒。図面はなくても大丈夫! 納期は最短5営業日とQuickなものづくりサービス。
⁠⁠URL:https://www.plaquick.com/

⁠泉 規靖(いずみ・のりやす)

PlaQuick事業部/金森産業株式会社 東京営業所

⁠1993年金森産業株式会社入社。30年間、試作の業界に携わりながらm3Dデータを活用したモノづくりサービス『PlaQuick』のブランディングに従事する。趣味のサッカー、スノーボードともに指導者の資格を所得して高校/大学サッカー、Jクラブ、海外クラブとの関係づくりも構築。富山県出身。