プラスチックの押し込み硬さの評価方法であるロックウェル硬さ、バーコル硬さについて説明する。
表面硬さ(1):押し込み硬さ:プラスチック材料の基礎知識(25)
2024.07.22
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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押し込み硬さとは試料に硬い物体を押し付けたときの押し込み深さによって硬さを評価する方法である。プラスチックの押し込み硬さ試験法にはロックウェル硬さ、デュロメータ硬さ、バーコル硬さがある。ロックウェル硬さ(JIS K7202-2)やデュロメータ硬さ(JIS K7215)は一般プラスチックの測定に、バーコル硬さはガラス繊維強化材料(JIS K7060)や熱硬化性プラスチック(JIS K6911)の測定に用いられている。
ロックウェル硬さの測定法について述べる。図1にロックウェル硬さ測定法の概略図を示す。

図1ロックウェル硬さ測定法の概念図
試験片に鋼球圧子を介して基準荷重を加えたのち、10秒以内に試験荷重を加える。15秒後に試験荷重を除き基準荷重に戻す。
ロックウェル硬さは次式で求める。

式(1)から押し込み深さeが小さいほどロックウェル硬さHRは大きくなる。
表1に示すように、ロックウェル硬さにはR,L,Mの硬さスケールがある。

表1ロックウェル試験の条件
硬さスケールMで80であればHRM80と表現する。硬さスケールによって圧子先端アールや試験荷重が異なるので、それぞれの測定値を単純に比較することはできない。
各種プラスチックのロックウェル硬さMスケールの硬さの例を表2に示す。

表2プラスチックのロックウェル硬さ
熱可塑性プラスチックに比較して熱硬化性プラスチックの方が高い値を示している。熱可塑性プラスチックは線状ポリマーの集合体であるため、荷重を加えたときにポリマーは動きやすいので押し込み硬さが低くなる。一方、熱硬化性プラスチックのポリマーは網状構造(注1)になっているので、ポリマーは動きにくいため押し込み硬さは高くなる。
熱可塑性プラスチックの硬さは成形条件によって大きく変化することはないので、材料の特性値としてのみ利用されている。一方、熱硬化性プラスチックは圧縮成形、トランスファ―成形、射出成形などで加熱硬化による硬化度(注2)を評価するのに利用されている。図2はエポキシ樹脂の硬化時間とバーコル硬さの関係を示す概念図である。

図2 エポキシ樹脂の硬化時間とバーコル硬さ
硬化が進むにつれてバーコル硬さは高くなり硬化が終了すると一定の値になる。また、金型温度が高い方が早く硬化することが分かる。
執筆者注:
- 注1:低分子ポリマー間に橋が架かった網目のような構造を言う。
- 注2:低分子ポリマーに硬化剤(架橋剤とも言う)を加えて加熱すると硬化反応(架橋反応とも言う)が起こり、硬くなる。硬化度は硬化の程度を示す値である。
(次回につづく)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
