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プラスチック製品の割れトラブル(1)――ストレスクラックによる割れトラブル:プラスチックの強度(33)

2024.08.21

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この記事は…

プラスチック製品の割れトラブルについて解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)


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残留ひずみ(冷却ひずみ)、金具インサートひずみ、熱ひずみなどは一定のひずみが負荷された状態である。これらの残留ひずみによる残留応力(=残留ひずみ×引張弾性率)がクラック発生限界応力以上であると、時間が経つとストレスクラック(以下、クラックという)が発生する。クラックが発生するとひずみは解放されるので、クラックの成長は停止する。

⁠そのため、製品形状によってはクラックが発生しても割れトラブルに至らないことがある。ただクラックが応力集中源になるため、外力が作用すると割れトラブルになることあるので注意しなければならない。

図1は角型インサート金具のコーナー部からクラックが発生した例である。

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図1 インサート金具周囲肉厚と割れトラブル



⁠角型金具をインサートすると金具コーナー部に残留応力が集中する。残留応力が大きいとコーナー部から厚み方向にクラックが発生する。同図(a)に示すように、肉厚が薄いとクラックはプラスチック層を貫通するので割れトラブルになる。一方、図(b)に示すように周囲肉厚が厚いとクラックは発生するが割れトラブルには至らない。しかし、金具に外力が作用するとクラックが応力集中源になり割れトラブルになることがある。

⁠図2は回転丸ノコ刃の保護カバーに透明ポリカーボネート(PC)を用いた例である。保護カバーに設けられた下穴に金属ボルトを通して鉄製フレームに締め付けて使用していたところクラックが発生した。クラックが発生しても直ぐ割れトラブルに至るわけではないが、ノコ刃回転による振動がかかるとクラックが成長して割れトラブルになる危険性はある。PC製カバーは透明であるため光の反射でクラックを観察できる。微細なクラックであるので、不透明品では見逃されることが多いので注意しなければならない。

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図2 ねじ締め付け部周囲に発生したクラック


クラックは時間が経過してから発生する。室温では数日から数週間以上が経過してから発生することが多い。そのため、製品検査では良品と判断されて出荷され、実際に使用しているときにクラックが原因で割れトラブルになることがある。ヒートサイクル、熱処理などの加速試験を行うとクラックは短時間で発生する特性がある。これらの加速試験によって良否を判定する方法がある。


⁠(次回につづく)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数