機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、「寸法数値と寸法配置」について解説します。
JISの寸法値の描き方10つの決まり:機械製図道場(入門編12)
2024.08.19
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前々回、前回で2D図面において図形の大きさを定義する「寸法(サイズ)」の記入について取り上げてきました。製図では大事なところですので、もうしばらく、寸法に関するトピックが続きます。今回から、「寸法数値/寸法配置」と「寸法補助記号」について解説していきます。
寸法値や配置の決まりごと
今回は、JISに記載されている寸法数値(寸法値)の規定について確認しましょう。ここでは、「JIS B 0001:2019 機械製図」の「11.4.寸法数値」の内容を基にして解説します。寸法数値は、下記のa)~j)の10項目で描き方が決められています。
a)長さの寸法数値は、通常はミリメートル(mm)の単位で記入し、単位記号は付けません。
b)角度寸法の数値は、一般に度の単位で記入し、必要がある場合には、分および秒を併用することもできます。度、分および秒を表すには、数字の右肩にそれぞれ単位記号「°」(度)、「′」(分)、「″」(秒)を記入します。角度寸法の数値をラジアンの単位で記入する場合には、その単位記号として「rad」を記入します。
c)寸法数値の小数点は「.」を付け、数字の間を適切にあけて、その中間に大きめに書きます。また、寸法数値の桁数が多い場合でも桁数の間の「,」は付けません※注記:ISO規格では、小数点に「,」を使用しています。
d)寸法記入は、累進寸法記入法の場合を除き、次によります。
d-1)寸法数値は、水平方向の寸法線に対しては図面の下辺から、垂直方向の寸法線に対しては図面の右辺から読めるように指示します。斜め方向の寸法線上の数値は、その寸法線に平行に記入します(図1)。

図1 斜めの形状に対して平行な寸法線と寸法値を記入した例(SOLIDWORKSの例)
角度寸法の数値は、図示のように記入します(図2)

図2 角度寸法記入(SOLIDWORKSの例)
d-2)寸法線を中断しないで寸法数値を記入する場合には、寸法線に沿ってその上側にわずかに離して寸法線のほぼ中央に記入します。また、寸法数値を記載するスペースが確保できない場合に限り、寸法線を中断し、中断した部分に寸法数値を記入します。このとき中断する部分は、一般に寸法線のほぼ中央に記入します。寸法線を中断する記入方法と中断しない記入方法は、できる限り1つの図面内で混用しない方がよいでしょう。(図3)

図3 寸法線から離れた描き方(ZW3Dの例)
筆者は寸法値が寸法線から離れた描き方(図4)をよくしますが、寸法値が寸法線上にある描き方(図5)でもよいです。

図4 寸法値が寸法線上にある描き方(ZW3Dの例)

図5 「ドキュメント寸法テキスト文字列」および「属性を修正」メニュー(ZW3Dの例)
d-3)寸法数値は、垂直線に対し左上から右下に向かい約30度以下の角度をなす範囲には、寸法の記入を避けます。ただし、図形の関係で記入しなければならない場合には、その場所に応じて、まぎらわしくないように記入します。
e)寸法数値を表す数字は、図面に描いた線で分割されない位置に指示することがよいとされます。
f)寸法数値は、図面に描いた線に重ねて記入してはいけません。ただし、やむを得ない場合には、引出線と参照線とを用いて記入します。
g)寸法数値は、寸法線の交わらない箇所に記入します。
h)寸法補助線を引いて記入する直径の寸法が対称中心線の方向に幾つも並ぶ場合には、各寸法線はなるべく同じ間隔に引き、小さい寸法を内側に、大きい寸法を外側にして寸法数値をそろえて記入します。また、紙面の都合で寸法線の間隔が狭い場合には、寸法数値を対称中心線の両側に交互に記入することも可能です(図6)。寸法値の中心位置をそろえて記入するのが一般的ですが、図面によっては交互に記入することも可能です。

図6 寸法補助線を引いて複数の直径を記入(SOLIDWORKSの例)
i)寸法線が長いために、その中央に寸法数値を記入すると分かりにくくなる場合には、いずれか一方の端末記号の近くに片寄せて記入ができます(図7)。図面の見やすさを考慮し、図7のように寸法線端末記号に寄せて数値を記入してもよいです。

図7 寸法線端末記号に寄せた寸法値(SOLIDWORKSの例)
j)寸法数値の代わりに、文字記号の使用ができます。この場合は、その数値を別に表示します(図8)。

図8 文字を使用した2D図面(SOLIDWORKSの例)
この場合、設計テーブルの表を使用することで、文字記号と寸法値を2D図面上に表示することができます。コンフィギュレーションを使用すると、1つのドキュメントファイルに複数の部品やアセンブリモデルを作成できます。
次回は、主に寸法補助記号について解説をします。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

