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プラスチックの摩擦摩耗性:プラスチック材料の基礎知識(27)

2024.08.26

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この記事では…

プラスチックの摩擦摩耗性について解説する。摩擦摩耗性には静摩擦と動摩擦があり、用途に合ったプラスチック選定の参考にする。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)


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摩擦摩耗性に関する特性値には静摩擦係数、動摩擦係数、限界PV値がある。

静止状態から動き出すときの摩擦抵抗の大きさを表す特性値が静摩擦係数である。プラスチック製品の静摩擦係数試験規格はないが、一般的には次のように測定する。

図1に示すように、傾斜面上に物体を置いて、物体が滑り出す角度θ、または質量Pの物体を移動するのに要する力Fから静摩擦係数を次式で求める。

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図1 静摩擦係数測定法

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図2に同種プラスチックの静摩擦係数測定例を示す。(参照1)

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図2 静摩擦係数測定例

同種熱可塑性プラスチック同士では、ふっ素樹脂、ポリエチレン(PE)ポリアセタール(POM)は0.2~0.3 程度と静摩擦係数は小さい値である。静摩擦係数が小さい方が適している用途と大きいほうが適している用途がある。

図3に示すように、動摩擦試験は荷重Pを加えた状態で試験片と相手材のうち一方を回転させたときのトルク抵抗Tを測定する。動摩擦試験ではしゅう動面の摩擦熱発生や摩耗が起きる点で静摩擦係数とは違いがある。

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図3 動摩擦係数測定法

動摩擦係数μを次式で求める。

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図4に同種プラスチックの動摩擦係数を示す。(参照2)

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図4 動摩擦係数測定例

同種熱可塑性プラスチック同士ではふっ素樹脂、ポリアセタール(POM)ポリエチレン(PE)ポリアミド(PA)などの動摩擦係数は小さいことが分かる。軸受け、歯車などの用途では動摩擦係数が小さい材料が求められる。

図3において面圧Pを大きく、または摩擦速度Vを速くするにつれて接触面が摩擦発熱し変形または溶融する。あるPV値以上では摩擦係数、摩耗量などが大きくなり、材料がその機能を果たさなくなる。この限界を示すのが限界PV値である。一般的に動摩擦係数が小さく、かつ耐熱性の高い材料ほど限界PV値は大きくなる傾向がある。

参考文献

⁠参照 1)高野、他、プラスチックス、20(3), p.37(1969)
⁠参照 2)山口章三郎、潤滑、11(12),p.12(1966)


(次回につづく)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数