ウェルドラインによる成形品の割れトラブルについて解説する。
プラスチック製品の割れトラブル(3)――ウェルドラインによる割れトラブル:プラスチックの強度(35)
2024.10.30
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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図1に示すように、ウェルドライン(WL)の発生パターンには対向流WL(a)と並走流WL(b、c)がある。並走流WLに比較して、対向流WLの強度は弱いので割れトラブルになりやすい。

図1 ウェルドラインのタイプ
WLが原因で割れトラブルになるのは、次のケースが多い。
① WLに衝撃応力が加わるケース(衝撃破壊)
② WLに持続応力が加わるケース(ストレスクラック、クリープ破壊)
③ WLに繰り返し応力が加わるケース(疲労破壊)
WLに起因する割れトラブルを防止するには、次の対策がある。
(1) WLが発生しない形状に変更する
図2は、形状変更してインサート金具周りからの割れトラブルを解消した例である。

図2 形状変更によるウェルドライン割れトラブル防止例
図(a)はインサート金具周りに対向流WLが発生するので、WLから割れることがある。図(b)のように設計変更するとWLは発生しないか、発生しても並走流WLになるので割れを防止できる。
(2) 並走流WLになるように設計変更する
成形による下穴の周囲にはWLが発生する。下穴に金属ねじを通して締め付けるとWLから割れトラブルになることがある。図3(a)は対向流WLであるのでWLからクラックが発生して割れトラブルになりやすい。図3(b)のように形状変更すると並走流WLになるので割れトラブルになりにくい。

図3 下穴周囲のウェルドラインと割れ
(3) WL発生位置を変える。
応力が作用する位置にWLが発生しないように、ゲート位置を選定する。または、成形品の肉厚分布を変えて、応力が作用する位置にWLが発生しないように設計変更する。
(次回につづく)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
