機械製図の実務を行う上で基本となることを解説。今回は、ねじの描き方の基本について説明する。
ねじの描き方:機械製図道場(入門編15)
2024.10.30
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
>>前回
2D図面の作製では、ねじや歯車など「機械要素」と呼ぶ部品を描くことが多くあります。今回はこの機械要素の代表的なものとなる、ねじの描き方について解説します。
ねじについては「JIS B 0002-1:1998 製図-ねじ及びねじ部品-第1部:通則 Technical drawings-Screw threads and threaded parts」に製図方法が詳しく記されています。

JIS B0002-1より抜粋/編集
ねじの描き方の基本
2D部品図を描く上でも、ねじのねじ山各部の名称に必要な数値とその名称の理解は必要です。「おねじ」と「めねじ」ともに、ねじには「外径」「内径」「谷の径」があり、隣り合うねじ山との距離「ピッチ」、ねじ山の「角度」や「有効径」といった要素があります。
一般的によく使用される「メートルねじ」について、図1に示します。

図1 ねじに必要な数値と名称(メートルねじ)
おねじの山の頂とめねじの谷の径、またおねじの谷の径とめねじの内径の間の関係としては、おねじの外径はめねじの谷の径に等しくなりますが、実際には図2の引き出し線で示したように隙間があります。

図2 おねじ/めねじの“山の頂”の描き方 出所:機械要素JIS要覧|新日本法規出版
おねじ と めねじ、ともに、山の頂は平に描くため図1では表されていませんが、「JIS B 0101:2013 ねじ用語」を確認すると、谷の底は図2のように丸みを付けることになっています。ねじが固いあるいは緩いなどの「状態」は、ねじの「ななめの部分=フランク(面)」の状態により発生しますが、これを管理するものが有効径になります。有効径は、ねじ溝の幅がねじ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒(または円すい)の直径のことをいいます。ねじ要素の定義も「JIS B 0101:2013 ねじ用語」に記されています。
細目ねじ
メートルねじでは、ピッチと直径の関係から「並目ねじ」や「細目(ほそめ)ねじ」と呼ばれるものがあります(「JIS B 0101:2013 ねじ用語」に規定)。細目ねじは並目ねじに対して「リード角」が小さいことが挙げられます。
リード角とは“ねじの螺旋の角度”のことを示します。同一径のねじであったとしても、ピッチが小さくなるということは、螺旋の角度も浅くなります。このリード角ですが、“リード角が小さいほど、ねじが緩むのに必要なトルクが増加”します。
「並目ねじよりも、細目ねじの方が回転緩みに対して強い」ということから、締結力を上げるために細目ねじを使用するケースがあります。
また、リード角が小さいほど、ねじ1回転当たりの進む量も少なくなることから、調整機構において細かな量で進めたい(送りたい)場合にも細目ねじが用いられています。
おねじ
「おねじ」は、円筒面に螺旋(らせん)状のねじ山を設けたもので、軸の外側にねじ山のあるものです(図3)。

図3 ZW3DCADによる「おねじ」の3D設計モデル
ねじの実形状を2D図面で描いても非常にわかりにくいものになります。一義性のある分かりやすい図面を描くために簡略化された図示方法が「JIS B 0002-1」に規定されています(図4)。

JIS B0002-1より抜粋/編集

図4 ZW3D CADによる3D設計モデルからと2D図面化した「おねじ」
JISにおいて、ねじの端面から見た図 ねじの端面から見た図において、ねじの谷底は、細い実線で描いた円周の4分の3にほぼ等しい円の一部で表し、できれば右上方に4分円を開けるのが良いとされています。上の図4では開けられていませんが、これはCAD機能の制約によるものです。また、ねじの端面から見た図では面取りによって見える線を省略します。
JISでは「ねじ部の境界が見える場合には太い実線で表す」ということが、「3.2.5項 ねじ部の長さの境界」に記載されています。図4の例では、図面において線フォントの属性を変更することで対応しています。
めねじ
「めねじ」とは、穴の内面にねじ山を設けたもので、軸の内側にねじ山があるものです(図5)。

図5 ZW3D CADによる「めねじ」の3D設計モデル
めねじの2D図面を図6に示します。(説明のため寸法が重複しています)

図6 ZW3D CADによる3D設計モデルからと2D図面化した「めねじ」
おねじ、めねじの加工を行う場合、ねじが加工されていない部分が本来残り、「不完全ねじ部」といいます。JISには“不完全ねじ部は省略可能であれば表さなくてもよい”と記載されていますので、使用しているCADで機能上これを表すことができない場合には省略が可能です。
まだまだ機械要素があるのですが、ひとまずここまでとします。「機械製図道場(入門編)」は、これにて終了です。
いよいよ次回よりレベルアップして、「機械製図道場(中級編)」へ突入です。JIS製図に必要な幾何公差について解説をしていきます。引き続き、頑張っていきましょう!
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

