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プラスチックの耐候性:プラスチック材料の基礎知識(29)

2024.11.11

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屋外で太陽光、風雨、気温などの影響を受けた時の劣化に対する耐性を耐候性と称している。一般的にプラスチックの耐候性は良くないものが多い。その原因はプラスチックの分子結合エネルギーより太陽光の紫外線エネルギーの方が大きいため、プラスチックが紫外線を吸収すると劣化が誘発されるからである。

図1に示すように屋外暴露によるプラスチックの劣化は次のように進行する。

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図1:紫外線照射による表面層の劣化

ここでは、分解は分子が部分的構造変化または切断することを言い、分解によって外観、強度などに有害な変化が乗じることを劣化と表現する。

①太陽光が照射された表面層が紫外線を吸収すると1次分解物(ラジカル)が生成する。
⁠②1次分解物は大気中の酸素と結合して2次分解物(過酸化物)を生成する。
⁠③2次分解物は不安定であるのでさらに分解が進行する。分解すると外観変化や強度低下が起きる。その場合、気温が高く、湿度が高いほど分解は促進される。
⁠④表面が分解してぼろぼろになると、風雨によって表面層が飛ばされたり、洗い流されたりして内部の未劣化層が露出する。
⁠⑤未劣化層は①~④の過程を経て、さらに劣化は内部へと進行する。

劣化したきには黄変または色相変化、チョーキング、微細亀裂などの外観変化が起きる。チョーキングとは表面に白い粉が付着したような現象であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタールなどでよく見られる。図2に示すように屋外劣化品の表面には微細な亀裂が生じている(引用文献 1)。劣化品に引張力や衝撃力を加えると亀裂が応力集中源になるため脆く割れてしまう。

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図2:紫外線劣化品表面に発生した亀裂(試料:POM)

熱劣化とは異なり、太陽光が照射される表面層のみが劣化して劣化層が太陽光を遮蔽するので内部層の劣化は抑制される。そのため、図3(a)に示すように未劣化層に最大引張応力が発生するように曲げても割れないが、図3(b)のように劣化層に最大引張応力が発生するように曲げると表面劣化層の亀裂が応力集中源となるため簡単に割れる。

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図3:表面劣化した試料を曲げた時の割れ

また、耐候劣化は表面層から徐々に進行するので、厚みの薄い製品ほど耐候寿命は短くなる傾向がある。プラスチックの中で、メタクリル樹脂(PMMA)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は抜群の耐候性を有している。PMMAは紫外線を吸収せず透過するため耐候性が優れている。PTFEは分子結合の炭素(C)-ふっ素(F)の結合エネルギーが大きいため紫外線エネルギーを吸収しても分子切断しないので耐候性が優れている。

その他のプラスチックは、耐候劣化しやすいので光安定剤を添加して劣化を抑制している。光安定剤には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がある。紫外線吸収剤は紫外線を吸収することで1次分解物の発生を抑制し、HALSは2次分解物(過酸化物)を分解して無害化することで劣化の進行を抑制する機能がある。

引用文献
1)本間精一著、材料特性を活かした射出成形技術、p.41、㈱シグマ出版(2000)

(次回につづく)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数