プラスチックの透明性について説明する。
プラスチックの透明性:プラスチック材料の基礎知識(30)
2024.11.13
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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透明なプラスチックには表1に示す種類がある。
表1 透明プラスチックの種類

一般的に非晶性プラスチックの自然色は透明である。
結晶性プラスチックは結晶相を有するため不透明または半透明であるが、ポリメチルペンテン(PMP)やポリエチレンテレフタレート(PET)は透明である。PMPは結晶相と非晶相の密度差(屈折率差)が小さく、界面での乱反射が少ないため透明である。PETは本来結晶性であるが、成形時に急冷すると結晶化しないため透明なPETボトルやフィルムに加工されている。表1に示した透明プラスチックの中で透明性、耐擦傷性、耐候性などの点で最も優れているのはメタクリル樹脂である。
透明性を表す特性値には、明るさの尺度としての光線透過率と、透視性の尺度としてのヘイズ(霞度)がある。物体に光が当たると一部は表面で反射され、物体に入った光の一部は物体内で吸収され、残りが透過光となる。この透過光は物体内部で散乱される拡散透過光と、直進する平行透過光とに分けられる。
透過率には透過した光線の全量を表す全光線透過率(Tt)、拡散光線透過率(Td)、平行光線透過率(Tp)の3つがある。光線透過率の測定装置の例を図1に示す(引用文献1)。 拡散光は積分球を用いて集光して測定される。

図1 光線透過率測定装置
同測定装置を用いて全光線透過量および散乱光量を測定する。JISK7105では入射光量を100として光線透過光量から求めるが、ここでは全光線透過率(Tt)と拡散透過率(Td)の概念的な計算式を示す。

平行光線透過率(Tp)は次式から求める。

光が透明試料を透過するときに光散乱が起きると透視性は低下する。透視性を示す特性値がヘイズ(霞度)である。ヘイズ(Hz)は、次式から求める。

式(4)から拡散光線透過率Tdは高いほどヘイズHzは高くことが分かる。式(3)から分かるように拡散光線透過率が高いと平行光線透過率が低くなるため透視性は低下する。図2にポリカーボネート(PC)の厚みとヘイズおよび平行光線透過率の関係を示す(引用文献2)。厚みが厚くなるとヘイズは高くなり、平行光線透過率は低くなるので透視性は低下することが分かる。

図2 PCの厚みと平行光線透過率およびヘイズ
引用文献
1)JIS77105(プラスチックの光学的試験方法)
2)三菱ガス化学ユーピロン技術資料、物性編、p.89
(次回につづく)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
