プラスチック成形時における比容積・圧力・温度特性について解説する。
樹脂の成形特性(1) 1.5 比容積・圧力・温度特性:射出成形技術者向け! 成形不良対策塾 中・上級編(5)
2026.02.02
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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ゲートシールした後は、キャビティ内の樹脂質量は変化しないが、温度低下に伴って樹脂容積は収縮する。樹脂容積は成形品によって異なるので、単位質量当たりの容積である比容積(cm3/g)という一般化した値で表す。
なお、比容積の逆数は密度(g/cm3)である。温度が高くなると樹脂の比容積は大きくなるが、圧力を高くすると小さくなる。このように比容積vは温度Tや圧力Pによって変化する。PvT特性は横軸に温度Tを縦軸に比容積vを取り、圧力Pを変えたときの挙動を表した図である。
図は結晶性プラスチックであるポリアセタール(POM)のPvT特性である(注1)。

図 POM(ホモポリマー)のPvT特性(注1)
図(a)は冷却速度が遅い条件のPvT特性、図(b)は速い条件のPvT特性である。両図から次のことが分かる。
①温度が高くなると比容積は大きくなる。
②圧力が高くなると比容積は小さくなる。
③冷却速度が速いと、室温に達したときの比容積は大きくなり、逆に遅いと比容積は小さくなる(図(a)と図(b)の比較)。
④結晶化時に比容積は大きく減少する。
両図をもとに、キャビティに充填した樹脂挙動について説明する。
キャビティ内における溶融樹脂の比容積は①→②→③→④を経て室温の比容積v0に達する。②でゲートシールした後の樹脂質量は一定である。ゲートシール後の樹脂質量は次式で表される。

②→③の過程では冷却に伴って収縮するので、キャビティ内の圧力は徐々に低下し0.1MPa(大気圧)に達する。その後は0.1MPa線に沿って収縮して室温④の比容積v0に達する。②→③→④の間では樹脂質量は一定であるので、室温に達したときの成形品容積は式(1)の関係から次式で表される。

式(2)から成形品容積Vは②比容積vpと④比容積v0によって決まることが分かる。
例えば、冷却速度が同じ場合は(v0:一定)、圧力が高いとvpは小さくなるのでVは大きくなる。
圧力が同じ場合は(vp:一定)、冷却速度が速いとv0は大きくなるのでVは大きくなる。プラスチック(非強化)は等方向収縮を示すので寸法も容積Vと同様な挙動を示す。
射出成形条件に当てはめると、キャビティ内圧力は保圧によって決まる。冷却速度は金型温度や成形品肉厚によって決まる。
引用文献
注1 ”Thermodynamik” Kemdaten fur die verarbeitung thermoplastischer kunststoffe, Carl hanser Verlag Munchenwien(1979)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
