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「幾何公差」と「サイズ公差」は何が違うの?:機械製図道場(中級編1)

2024.12.04

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今回の記事は…

JIS製図の幾何公差について一から解説。今回は、「サイズ公差」と「幾何公差」の違いについて説明する。

(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)


⁠>>前回

⁠機械製図道場(入門編)では、図面の一義性を問う上で、JIS製図において図面の描き方について解説してきました。

⁠中級編からは、同じくJIS製図における幾何公差について解説を行っていきます。まずはその前にサイズ公差についてお話しましょう。同じ公差という名称が付く「幾何公差」と「サイズ公差」は、一体、何が違うのでしょうか。⁠

公差の必要性とは⁠


⁠「形体の寸法や幾何的な状態の許される範囲を決めるもの」を「公差」といいます。以下のように、さまざまな公差がJISによって定義されています。最も一般的なのが、「普通公差」といわれるものです。

⁠寸法および公差
⁠JIS B 0405:1991 普通公差‐第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差。JIS B 0026-1998 製図‐寸法及び公差の表示方式‐非剛性部品

幾何公差
⁠JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)
⁠‐幾何公差表示方式‐形状、姿勢、位置及び振れの公差表示方式。
⁠JIS B 0420-1:2016 製品の幾何特性仕様(GPS)
⁠‐寸法の公差表示方式‐第 1 部:長さに関わるサイズ


⁠「サイズ」という言葉が「寸法」と何が違うのかについては、「寸法」と「サイズ」の違いとは:機械製図道場(入門編9)で取り上げています。まだご覧になっていない方は、ぜひご確認ください。

⁠設計者が部品単体、アセンブリーを考える上で、その部品の形体を定める上で、またアセンブリーで機能を満足するために、ある条件のための制約として与える数値が公差です。

⁠「形体」とは「ありさま」を示すのみで、どのような数値で表される状態なのかは、示されません。一方、「サイズ形体」とは形体に「長さ」や「角度」といった定義付けを行うことで、形体を数値的に表します。形体を数値で表したとしても、実世界の中でモノを作ろうとすれば、ある一定の規格や技量の中で加工するとしても、必ずバラツキは生じてしまいます。

⁠このバラツキを制約し、その機能を満足させるための制約条件が公差です。このバラツキを生む要因には「4M要素」(図1)があります。

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図1 バラツキの4M要素


⁠幾何公差により曖昧さをなくす


⁠それでは、「幾何公差」がある目的は何でしょうか。
⁠下の図2はサイズ公差のみで描かれたものです。

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図2 サイズ公差のみで描かれた図面(ZW3Dで設計) 拡大画像


⁠この形を頭の中で思い浮かべた時、誰もが右図のような直方体をイメージします。6面が垂直、対面が平行となる直方体の形態であり、そのサイズも、100±0.15[mm]、50±0.15[mm]、25±0.1[mm]の範囲に入るJISで言えば精級の規格であり、それぞれの面も平面度が確保されているような部品として加工されることを期待します。

⁠しかし、この図面は厳密にいうと、6面が垂直ではなく断面形状がひし形になっていたとしても、各角サイズ公差を満足していれば問題はないと判断されることもあります。この「曖昧さをなくす」ためにも、サイズ公差と共に幾何公差を図面に指示することは重要です。

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図3 幾何公差も記入した例(ZW3Dで設計) 拡大画像


⁠このモデルの寸法(サイズ)公差と幾何公差の解説を行います。直方体モデルの左側面がデータムAです。このデータムAは0.02以内の平面によって構成されています。

⁠直方体モデルの長手方向長さは100mmでその寸法(サイズ)公差は±0.5mmです。また右側面は、データムAに対し、平行度0.05以内になければならないと規定されています。寸法は、99.5mmから100.5mmの間でバラツキがあることと、平行度は0.05以内にあるということは、別々に設定されています。寸法(サイズ)公差だけの設定の場合に比べ、幾何公差によって公差領域が更に制約されることで、形体はより詳細に示されています。すなわち、図面の曖昧さがなくなることで、一義性は向上します。

⁠次回から、幾何公差についてサイズ公差とともに解説を進めていきます。

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土橋 美博(どばし・よしひろ)

⁠3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。