JIS製図の幾何公差について一から解説。今回は、幾何公差の種類とデータムについて再確認する。
「データム」とは何でしょうか?:機械製図道場(中級編3)
2025.02.03
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前回は、サイズ公差と幾何公差を図面に表す場合の考え方となる「独立の原則」について説明しました。
この考え方は図面に設計者の意図を示す場合だけではなく、サイズ公差や幾何公差の最適な設定を行う「公差設計」を行う場合にも理解が必要になります。
前回も平面度や直角度について説明をしましたが、あらためて幾何公差の説明をしていきましょう。
なお幾何公差については、「JIS B 0021:1998製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式Geometrical product specifications (GPS) -- Geometrica tolerancing - Tolerancing of form, orientation, location and run-out 」で規格化されています(図1)。これを参考に説明を進めます。
幾何公差の種類

図1 機械要素JIS要覧(新日本法規出版)を参考に作成
幾何公差(「特性」「記号」)には、よく見かける(使用している)ものもあれば、なじみのないものもあるかもしれません。幾何公差は4種類に分類することができます(図2)。

図2 幾何公差の分類
図1のように、「データムを必要とするか・しないか」という見方をする場合、データムを必要としない単独形体として扱うものには、「形状公差(Form Tolerances)」があり、データムを必要とする関連形体として扱うものには、「姿勢公差(Attitude Tolerance)」「位置公差(Location Tolerance)」「振れ公差(Runout Tolerance)」があります。
データムとは
ここで「データム(Datum)」について説明します。データムは 「 JIS B 0022-1984 幾何公差のためのデータム Datums and Datum-systems for Geometrical Tolerances」に説明があります(図3)。

図3 データムの定義について「JIS B 0022:1984」より抜粋
皆さんも部品を測定するような場合に使用する鉄や花崗岩で出来た定盤はご存じでしょう。図4は、定盤の上に矩形(直方体)形状の部品が置かれている状態を表しています。

図4 定盤の上に置かれた部品
定盤は測定の際の置く基準となり、その「平面度」は測定そのものに影響を及ぼします。そのため、JISB7513:1992 精密定盤では平面度の許容差を「0級」「1級」「2級」の3等級に区分しています。
この規格では「使用面の呼び寸法」に対し、各等級における「平面度の公差値」が定められています。例えば、使用面の呼び寸法が1000×1000mmの場合は、平面度の公差値が「0級:7μm」「1級:14μm」「2級:28μm」と規定されています。
測定の基準として用いられる定盤でさえもその表面の平面度は「0μm」ではありません。
定盤の上に置かれた側の加工物の平面は設計者が指定した幾何公差内での平面度/平行度の状態になっていることが理想的となります。
この時の両方の接触面を拡大してみると、図5のようになります。

図5 定盤と部品の接触面の拡大図(JIS B0022:1984参照」
このように、定盤の接触面のような精密な形状を持つ表面が、「実用データム形体」となり、これによりデータムが設定されます。「データム形体」は、図5の表面のように対称物の実際の形体を指します。
データムについて整理すると、次のようになります。
- 加工を行う場合に基準となる面(または線)
- (寸法)測定を行う場合に基準となる面(または線)
データムについて理解していただけたところで、次回より幾何公差について1つずつ説明していきます。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

