プラスチックの耐薬品性について説明する。
プラスチックの耐薬品性:プラスチック材料の基礎知識(33)
2025.03.05
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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薬品に接触または浸漬したときに、プラスチックの分子構造によっては次の挙動を示す。
① 膨潤・溶解
プラスチックと薬品がなじみやすい組み合わせでは分子間に薬液が浸透して膨れた状態になる。これが膨潤現象である。さらに進行すると完全に溶解する。ポリスチレン、メタクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、変性PPEなどの非晶性プラスチックは溶剤の種類にもよるが膨潤・溶解されやすい。
②化学的分解
薬品によっては、特定の分子鎖に反応して分解する。
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのようにエステル結合(-C(O)O-]やポリカーボネートのように炭酸エステル結合[-OC(O)O-]を有するプラスチックは高温蒸気、温水、アルカリ水溶液などのもとでは加水分解する。
また、プラスチック全般に高温酸性液や強酸液のもとで酸化分解が起きる。
③ケミカルクラック
応力と薬液の共同作用でクラックが発生する現象である。応力の存在下で薬液がプラスチック中に拡散すると、応力発生部で局部的に急速に応力緩和が起こるときにクラックが発生する。ケミカルクラックは非晶性プラスチックで起こりやすい。
プラスチックの耐薬品性を評価する試験法はJIS K7114に規定されている。表に示すように、無応力下で薬品に浸漬し一定の温度、時間経過後の変化(質量、寸法、色相、物理性質)を測定する試験法である。従って、材料選定するときの1次目安として利用すると良い。

表 JISK7114による耐薬品試験法(無応力化)の概略
耐薬品性に関して万能なプラスチックはないがポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ふっ素樹脂などのスーパーエンジニアリングプラスチックは全般的に耐薬品性が優れている。
その他のプラスチックについては、上述の耐薬品性試験データをもとに候補プラスチックをいくつか選択する。しかし、使用時の温度や負荷応力、使用時間によっては影響が異なるので実用試験を行って最適なプラスチックを選択するほうが良い。
(次回につづく)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
