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姿勢公差と平行度:機械製図道場(中級編4)

2025.03.10


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今回の記事は…

JIS製図の幾何公差について一から解説。幾何公差のうち、姿勢公差に含まれる「平行度」について解説する。

(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)

前回、幾何公差を理解する上で必要なデータムについて説明しました。

データムを必要とする幾何公差には、表1の青色枠で示した通り、大きな分類として「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」があります。

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表1 機械要素JIS要覧(新日本法規出版)を参考に作成

これらは表の上の方にある「真円度」「平面度」といった、他の線や面に関係せず、ある理想的な形状に対して単独でその許容範囲となる公差を指示するものとは異なり、“関連形体の幾何公差”となります。

姿勢公差は、対象となる形体がデータムと関連し、平行、直角、任意の角度を持つ幾何学的に正しい姿勢を表す偏差が許容値内にあるかを規定します。幾何公差において、データムを参照することから「関連形体」と呼ばれています。なお、“データムを参照しない幾何公差”を「単独形体」と呼びます。

1.姿勢公差(attitude tolerance)

姿勢公差は、以下のように5つあります。

①     平行度(Parallelism)
⁠②     直角度(Perpendicularity)
⁠③     傾斜度(Angularity)
⁠④     線の輪郭度(Profile of a Line)
⁠⑤     面の輪郭度(Profile of a Surface)

上について、今回の記事から数回にかけて、順を追って説明していきます。


⁠平行度(Parallelism)

平行度は、「JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示」(以下、JISとします)によると、

「データム直線、データム平面に対して平行な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさ」

と定義されています。

前回、データムの説明の際にも解説しましたが、平面といってもその面は凸凹しています。

平行度とは、その凸凹の最も高い部分と最も低い部分が、上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定距離(単位はmm)の中にあることを定義します。データムが不要な平面度と異なるのは、その2つの平面を規定するための基準面がデータムとして存在する点です(平面度は形状公差となりますが、この説明は別途行います)。

平行度には、以下の種類(用途)があります(「JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示. Definitions and designations of geometrical deviations」参照[以下、JIS B 0621]と記載)。

1.     直線形体のデータム直線に対する平行度
⁠(ア)  一方向の平行度
⁠(イ)  互いに直角な2方向の平行度 
⁠(ウ)  方向を定めない場合の平行度 
⁠2.     直線形体または平面形体のデータム平面に対する平行度
⁠3.     平面形体のデータム直線に対する平行度


1.直線形体のデータム直線に対する平行度

(ア)  一方向の平行度 

【公差域の定義】(JIS原文、以下同様)「その方向に垂直でデータム直線(LD)に平行な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだ時の2平面の間隔(f)で表す」(図1)

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図1 一方向の平行度

その例を図2で示します。

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図2 (ア)(イ)平行度参考モデル(ZW3D作成)

Φ15mmの穴の軸線が、データム軸直線Aに平行かつ0.1mm離れた2つの平面間の領域に入っている必要があることを平行度により規定しています(図3)。

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図3 一方向の平行度の場合における図面への記入例(ZW3Dで2D図面作成)


(イ)  互いに直角な2方向の平行度 


【公差域の定義】「その2方向にそれぞれ垂直で、データム直線(LD)に平行な2組の幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだ時の、2平面の間隔(f1、f2)すなわち、2組の平行2平面で区切られる直方体の2辺の長さで表す」(図4)

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図4 互いに直角な2方向の平行度

その例を図5で示します。

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図5 互いに直角な2方向の平行度の場合における図面への記入例(ZW3Dで2D図面作成)

Φ15mmの穴の軸線が、データム平面Bに直角で、Φ20mmの穴のデータム軸直線Aに平行な幅0.1mm、データム平面Bに平行な高さ0.1mmの直方体の領域に入っている必要があることを平行度により規定しています。

(ウ)  方向を定めない場合の平行度 

【公差域の定義】 「データム直線(LD)に平行でその直線形体(L)を含む幾何学的円筒のうち、最も小さい径の円筒の直径(f)で表す」(図6)

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図6 方向を定めない場合の平行度

以下で、その例を示します(図7、8)。

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図7 (ウ)平行度参考モデル(ZW3D作成)

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図8 方向を定めない場合における図面への平行度の記入例(ZW3Dで2D図面作成)


⁠実際の軸線は、データム軸直線Aに平行な直径0.1mmの円筒公差域の中になければならないことを、平行度で規定しています。次回も平行度について説明します。



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土橋 美博(どばし・よしひろ)

⁠3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。