PlaBaseの運営元の金森産業の金森社長、高瀬常務、そして松本編集長が、プラスチック業界の2025年の展望について語ります。
【PlaBase新年展望2025】どうなる? 2025年のプラスチック業界
2025.03.03
この記事では...
(執筆:一之瀬 隼/ 製造業ライター)
PlaBaseの運営元である金森産業の金森社長、高瀬常務、そして松本編集長がプラスチック業界の2024年振り返りと2025年の展望について語ります。
2024年の振り返り
前回まで、PlaBaseの記事ランキングや2024年の振り返りについて取り上げました。2025年は一体どのような年となるのでしょうか? 前回に引き続き、PlaBaseの運営元である化学品専門商社・金森産業の代表取締役社長の金森洋平氏、同社常務の高瀬正明氏、そして、同社事業開発室室長で、PlaBaseの編集長をつとめる松本祐介氏が鼎談をお届けします。
後編となる今回は、2025年の展望について取り上げます。
――2025年に、国内の製造業でどのような課題が解消されて欲しいですか?

高瀬常務
高瀬常務:熟練工の方を中心に人手不足が深刻化しています。この解消に向けて、労働環境の改善や自動化技術の導入が必要です。熟練工の方の技術をうまく継承していくためには、熟練工の方の技術を再現できるロボットが開発されるとといいですね。また、人が作業し辛い高所・閉所などの作業はドローンで代替するような取り組みも進んでいますよね。
次に、グローバルのサプライチェーン強化が必要です。グローバルサプライチェーンの混乱が続いているので、品質や価格が安定した状態で原材料を供給するために、物流の効率化が必要になります。一部の業界ではコロナ禍で生産過剰で在庫過多に陥っていて、まだ需給が不安定な状態です。
金森社長:在庫の話については、在庫循環による短期の景気変動は過去から繰り返されてきました。調達のIT化でスーパーサイクルが起きるということ言われていましたけど、どうもすぐではなさそうです。コロナやロシアとウクライナの戦争の影響で詰みあがった在庫による影響が、この先半年、1年で解消したとしても、また4~5年後には同じことが起きるのではないかなと思います。2025年は、在庫も含めて不確実性が高い状況への対応をどうしていくのかということが必要なのではないでしょうか。
――先ほどロボットの話がありましたけれども、製造業関係で2025年中にこういう技術が発展して欲しいなどありますか?
高瀬常務:もう普及し始めている領域ですが、IoTを活用した設備の稼働状況可視化です。後はロボット関係で、労働力不足や輸送力不足の解消、生産性の向上が実現するといいですね。先日、レアアースを使わずに高効率モータを実現した会社の特集をテレビで見ました。こういう技術が、他にもたくさん出てきて欲しいですね。環境関係では、CO2削減に向けてリサイクルやバイオマス材料が注目されていますが、コストが高いのでなかなか普及しません。最近注目しているのは、家庭ゴミからセルロースファイバーを抽出するような技術です。こういった環境対応の技術もどんどん出てくるといいなと思います。
金森社長:国内では人手不足やAIの活用といった、2024年のトレンドが継続していくと考えています。1年前と間違いなく変わっているのは、アメリカの大統領選挙の結果による影響です。脱炭素の流れが具体的にどうなるのかは今後注視する必要がありますが、脱炭素化に向けて時間的猶予ができたというよりは、収益化が遅れると捉えた方がいいと思います。脱炭素に向けた方向性自体は変わらないと思いますが、より忍耐が求められる状況になりそうですね。一方で、経済合理性のある脱炭素化については加速していくと考えています。
また、関税の不透明感もあり地産地消、調達の多様化に向けた動きが加速していくと思います。その中で、どう変化が起きるかというのは、アメリカを中心に他国の動向も見ながら対応を検討するということになりそうです。国内では、石油化学業界の再編について結論を出す必要があると思います。ある企業は構造改革に目途をつけたと聞いていますが、一方で見直しの必要性は発信しつつも解決策が見えていない企業もあると思います。2025年は、各企業が個性を示して、成長軌道に乗っていってほしいです。
――PlaBaseとして、2025年はどういう1年にしたいですか?

松本編集長
松本編集長:金森産業の創業は1870年(明治3年)で、2025年で155年目になります。国内で化学産業が始まったころなんです。富山県には、創業150年を超える会社が結構あるんですよね。例えば薬売りから始まって、今は薬の容器を製造する会社などもあります。
プラスチックの歴史は150年よりも少し長くて、一説には今から165年ほど前と言われていますね。1860年代にアメリカでセルロイドが生まれ、その後に世界初の合成樹脂であるベークライトが生まれました。化学・プラスチック商社として、製造業とかかわる金森産業としても、この155年を節目として、新たに考えること、不屈の精神で変えなければいけないことがあるのではないかなと感じています。
金森産業は、「人と技術を繋ぐパートナー」という言葉を掲げているので、PlaBaseのコンテンツで、宇宙関連のイノベーションを起こすような企業を見つけてきたり、技術と技術をつないだりという部分で貢献していきたいですね。宇宙関連には、創薬の研究や3Dプリンターでのモノ作り、月面走行車向けの複合材料などさまざまな観点があります。そうした未来の技術を開発する企業に注目していきたいですね。将来、PlaBaseで宇宙からのライブ配信もしたい(笑)。
――2024年10月にCMC出版が金森産業にジョインしました。2025年はCMC出版チームも加わって新生PlaBaseとなっていくと思います。どのようにしていきたいかお話していただけますか?
金森社長:CMC出版は理工系参考書の出版社として60年以上の歴史があります。その歴史の中で培ってきたネットワークや読者の皆さん。また制作を担当してきた優秀なメンバーがそろっています。この基盤を金森産業グループのメディア事業にもしっかり融合し、新しい価値をお届けしたいと考えています。
関連リンク:
プレスリリース(金森産業)
松本編集長:2025年は、PlaBaseの記事やイベント、セミナーなどの企画も一緒にやっていきます。そして私が引退ですよ(笑)。そして編集長をCMC出版の方に継承したい……! 簡単な言葉では表現できませんけれども、我々はモノ作りをしているわけではないので、人が重要です。その点、CMC出版のメンバーは個人としても組織としてもしっかりしています。我々はWebメディアを7年間やってきました。一方でCMC出版はレポート・書籍・雑誌といった紙メディアがメインでした。ここを組み合わせることはメリットが多いですよね。また、人という面では、一緒に何かを創造していくメンバー、一緒に考えていけるメンバーが増えることは純粋にうれしいです。
もう1つ、自分自身、展示会取材がライフワークになっているのもあり、やはり展示会に重要な情報があると思っています。2025年はドイツで3年に1度のKショーもあります。今後は、CMC出版チームと一緒に、展示会の情報をお届けしていけたらと思っています。
もう1つ付け加えると、出版社としてレポートや書籍、雑誌を出すだけではなく、これまで構築してきたネットワークや知見をいかして個々の顧客需要に応えるようなサービスを実現したいと思っています。レポートを買ってくださったお客様に対して、提出して終わりではなくさらに必要な情報をコーディネートしていくようなサービスを立ち上げられたらいいですよね。他の企業でもやっているようなビジネスモデルではありますが、Webを使いながら独自の付加価値を提供できると思うので、チャレンジしてみたいと思っています。
――昨年の鼎談でお話ししていたPlaBase英語版はいかがですか?
松本編集長:2025年上期に英語版のリリースに向けて準備を進めています。これまでのPlaBaseの記事の英語翻訳版の他、英語版でしか読めない記事も用意しています。ご期待ください。
――2024年の新年鼎談の中で、日本人の年収を2倍にしたいというお話をされていましたね。

金森社長
金森社長:2025年も引き続きそれを目指し邁進していきます! しかし所得倍増に至る道のりは簡単な道ではありません。必要になってくるのは労働生産性の引き上げやそこに向けた投資、イノベーションです。「人と技術をつなぐパートナー」として新しい技術を求める人と広めたい人をおつなぎし、イノベーションを促すのが私たちの役割です。CMC出版という新しい仲間が加わりましたし、今年も新しい取り組みにチャレンジしていきます。
■自動車業界の現役設計者・一之瀬が振り返る、今回の鼎談(後編)
2025年に向けては、CMC出版のメンバーが加わり新生PlaBaseになっていくということで、今後の取り組みに注目ですね。一方で、多くの企業で人手不足などの課題は相変わらず継続しています。アメリカ大統領がトランプ氏となり、そこで打ち出される政策などに自動車業界も大きな影響を受けることが想定されます。大変な社会環境の中ですが、「夢」を持ち、所得倍増の実現に向けて生産性向上やイノベーションの実現、有効活用に取り組んでいきたいと思います。
自動車部品メーカーの現役エンジニアとして、先行開発から量産展開まで幅広い業務を経験。2022年より新規事業開発に着手。企業としての活動に加えて、コロナ禍で誕生した子供に背中を見せられるように、個人として製造業にどう貢献できるかを模索しながら活動をしている。

