プラスチックの電気的性質について説明する。
プラスチックの電気的性質:プラスチック材料の基礎知識(34)
2025.04.16
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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プラスチックの電気的性質には絶縁破壊、表面抵抗率・体積抵抗率、誘電率・誘電正接、耐アーク性などがある。プラスチックの電気的性質を表に示す。
プラスチックの電気的性質

プラスチックに電圧を負荷して徐々に昇圧すると最初は微小電流が流れるが、電圧が高くなると電流が急激に増加し一部溶けて穴が開いたり、炭化したりして絶縁性が失われる。この現象を絶縁破壊という。絶縁破壊には絶縁破壊強さ(絶縁耐力とも言う)と耐電圧がある。絶縁破壊強さはプラスチックの単位厚さに対する破壊電圧の値で、単位はKV/mmで表す。
また、耐電圧とは絶縁材料がいくらの電圧まで破壊しないか保証する値(単位KV)である。通常周波数の電圧を0から一定速度で試験電圧まで上昇させ、その電圧に1分間耐える最大電圧で評価する。高電圧下で使用される重電部品では、絶縁破壊強さまたは耐電圧が高いプラスチックが適している。
表に示すように、プラスチックの絶縁破壊強さは15~25KV/mmである
プラスチックに電圧を加えると、水分などの影響でごくわずかであるが電流が流れる。この電流を漏れ電流という。表面のみを流れる漏れ電流に対する抵抗が表面抵抗率(表面固有抵抗とも言う)、内部のみを流れる漏れ電流に対する抵抗が体積抵抗率(体積固有抵抗とも言う)であり、単位はΩcmである。
一般的に体積抵抗率が1014Ωcm以上のものは絶縁体と呼ばれている。プラスチックはこの値以上であるので、絶縁材料として電気関係用途に使用されている。
プラスチックに電圧をかけると、共有結合(原子核が電子を共有する結合)の共有電子が正極に引き寄せられることで誘電分極を起こし、正と負の電荷が生じる。分極の度合いを示す値が誘電率や誘電正接である。
交流電場では周期的に電界の方向が変化する。周波数が高くなると分子摩擦抵抗のため電界方向の変化に遅れが生じる。このときの遅れの1部は熱エネルギーに変わり、プラスチック自体の温度が上昇する。したがって、誘電率や誘電正接の小さい材料はエネルギー損失が少ない。
高周波数領域を利用する通信システムでは、誘電率や誘電正接の小さいプラスチックが求められる。一方、誘電率や誘電正接の大きいプラスチックは高周波によって発熱しやすいので高周波溶着に適している。
耐アーク性は板状試験片の上に2個のタングステン電極を一定間隔で離しておき、商用周波数で12.5KV、10~40mAのアークを発生させる。トラッキングが生じてアークが消滅するまでの時間を測定し、その時間を秒単位で表す。アークによってプラスチック表面が炭化して通電することで、アークが消滅すると推定される。したがって、アークが消滅するまでの時間が長いプラスチックは耐アーク性が優れている。
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
