JIS製図の幾何公差について一から解説。幾何公差のうち、姿勢公差に含まれる「平行度」について解説する。
データム平面と平行度:機械製図道場(中級編5)
2025.04.09

今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前回は、「直線形体のデータム直線に対する平行度」について説明をしました。分かりやすい言葉に変えると、「一本の線(直線形体)が、基準となる直線(データム直線)に対して、どれくらい平行に保たれているかを示すもの」でした。今回も「平行度」の解説なのですが、「データム直線」ではなく、「データム平面」を扱います。
直線形体または平面形体のデータム平面に対する平行度
「直線形体または平面形体のデータム平面に対する平行度」は、分かりやすく言えば、「直線や平面が、基準となる平面(データム平面)に対してどれだけ平行に保たれているかを示すもの」です。
【公差域の定義】 (JIS原文、以下同様)「データム平面(PD)に平行な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)または平面形体(P)を挟んだときの、2平面の間隔(f)で表す」(図1)(図2)

図1 直線形体のデータム平面に対する平行度

図2 直線形体のデータム平面に対する平行度
図1を見ながら、机の上に置いた直定規を頭に思い浮かべてみてください。直定規の端と端を結ぶ直線が直線形体(L)、机の天板がデータム平面(PD)です。この直線が、机の面と常に同じ高さ(f)で、どこを測ってもズレがなければOK。この直線がうねっていたり傾いていたりして、規定する2平面より飛び出ていたらNG。それが、この公差域の考え方です。
図3で、具体的な例を見ていきます。筆者が経験してきた設計の現場では、このような平行度の使い方を最も多く見てきました。

図3 平面形体のデータム平面に対する平行度の図面記入例(ZW3Dで作成)
長手面(サイズ100mm)をデータムA面とし、これに相対する短手面(サイズ30mm)の面がデータムA面に対し、0.01mmの平行2平面の中にあることを示しています。
【平“行”度と平“面”度の関係】
これらは、一体、どのような関係にあるのでしょうか?
- データム平面の平面度とデータム平面に対する平行度
- データム平面に対する平行度とその平面度
平行度およびデータム平面の定義より、データム平面(基準面)の平面度と平行度は無関係です。
>>平面度については、「幾何公差とサイズ公差は個別に適用すべし:機械製図道場(中級編2)」をご覧ください。
また、対象の平行度とその平面度については、「平行度<平面度」というのは、実物としておそらくあり得ません。ただし、「平行度>平面度」というのは、そのような幾何公差を設定するかどうかは別として、あり得るものだと筆者は考えています。
平面形体のデータム直線に対する平行度
「平面形体のデータム直線に対する平行度」とは、ある平らな面が、基準となる1本の直線に対して、どれくらい平行になっているかを示します(図4)。
【公差域の定義】 データム直線(LD)に平行な幾何学的2平面でその平面形体(P)を挟んだとき、平行2平面の間隔が最小となる場合の2平面の間隔(f)で表す。

図4 平面形体のデータム直線に対する平行度
図4を見ながら、頭の中で薄い平らな板を机の上に置いてみてください。机の手前のエッジ(直線)に対して薄板の表面が平行にあるでしょうか? 極端に反るなどしていた時、規定する2平面から外れることがあり、許容範囲を超えることになります。
平行度について、JISには、比較的理解しやすく書かれていますが、これらを整理すると、公差域は、「データムに平行な、fだけ離れた平行2平面」によって規制されています。
平行度の定義は理解しやすい?
筆者も設計で平行度を使用することが多いのですが、「平行2平面による領域で規制を行う」ということがほとんどで、前回説明したような「直線形体のデータム直線に対する平行度」のような領域を指示した経験は多くありませんでした。
今まで、「平行度は、比較的理解しやすい」と考えていたのですが、改めてJISをよく読んでみると、「案外、理解しづらいのかも」とその認識をあらためているところです。
次回は、直角度の解説から始めます。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

