割れトラブルに先行して発生する黄変や変色について説明する。
割れトラブルの原因究明法(2)黄色度と色差の測定:プラスチックの強度(40)
2025.05.14
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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プラスチックは熱分解、熱劣化、紫外線劣化などが起きると、強度低下に先行して黄変(黄色度の増加)または変色(色相変化)が起きる。この原因は分解や劣化の過程で発色団と呼ばれる原子団が生成するためである。黄変や変色が生じるとすぐに割れトラブルになるわけではないが、分解または劣化が進行していると推定できる。
自然色品では黄変するので黄色度や黄変度を測定する。着色品は着色剤との補色の関係で色相が変化するので色差を測定する。
[黄色度、黄変度]
黄色度(YI)は無色または白色から色相が黄方向に離れる度合いを表す。黄変度は黄色度の増加を表す値である。黄色度および黄変度の測定法は、JIS K 7373(プラスチックー黄色度及び黄変度の求め方)に規定されている。
測定法の詳細は割愛するが、分光測色法または刺激値直読法で三刺激値(X,Y,Z)を測定し、次式によって黄色度を算出する。

黄変度は次式で求める。

図1はポリカーボネート(PC)を屋外暴露したときの黄変度の増加である。太陽光からの紫外線によって劣化が進行すると黄変度が増加することが分かる。

図1 PCの屋外暴露による黄変度増加(引用文献1)
[色差]
色差は2つの色の間に知覚される色の隔たり、またはそれを数値化した値である。色差は色差計を用いて測定する。測定法はJIS Z 8730(色の表示方法―物体色の色差)に規定されている。
2つの試料について分光測色法または刺激値直読法によってL値、a値、b値を測定し、それぞれの差から色差ΔEを次式によって計算する。

なお、Lは明るさ、aは緑~赤、bは青~黄を表す値である。
図2はポリアセタール(POM)のリサイクル回数と色差の変化である(引用文献2)。100%リサイクルを繰り返すと色差が増加することが分かる。リサイクル材混合率30%では色差変化は認められず、熱分解はほとんど起こっていないことが分かる。

図2 POM(コポリマー)のリサイクル回数と色差(引用文献2)
引用文献
1)三菱ガス化学株式会社 ユーピロン技術資料、物性編、p.92
2)三菱ガス化学株式会社 ユピタール技術資料、射出成形編、p.8
(次回につづく)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
