JIS製図の幾何公差について一から解説。幾何公差のうち、姿勢公差に含まれる「直角度」について解説する。
どれくらい正確な直角なのか――直角度:機械製図道場(中級編6)
2025.05.19
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前回は「データム(Datum)」を必要とする姿勢公差の5つの幾何公差のうち、「平行度」について解説しました。今回はその続きとして「直角度」について説明をします。
平行度と同様に使用頻度の高い幾何公差として筆者は使用しています。2つの部品を組み合わせる場合や、部品の中の基準になる面に対して垂直な面を設ける場合などに使用しています。定盤で使用するイケールはこれに該当します(図1)。

図1 垂直度を使うケース(ZW3Dでモデル作成)
1.直角度(Perpendicularity)
直角度とは「JIS B 0621:1984」(以下、JISから引用)によると、
「データム直線またはデータム平面に対して直角な幾可学的平面からの直角であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさをいう」と定義されています。
これを分かりやすく説明すると、「直角度は、データムに対してどれくらい正確な直角であるかという許容値を表している」と言うことができます。この許容値を示す単位を角度だと勘違いしている人もいるかもしれませんので、要注意です。
直角度もまた、その適用はひとつではなく、大きく3種類があります。
- 直線形体または平面形体のデータム直線に対する直角度
- 直線形体のデータム平面に対する直角度
- 平面形体のデータム平面に対する直角度
では順に説明をします。
1. 直線形体または平面形体のデータム直線に対する直角度
【公差域の定義】(JIS原文)
「データム直線(LD)に垂直な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)または平面形体(P)を挟んだときの、2平面の間(f)で表す。」
① 直線形体のデータム直線に対する直角度

図2 直線形体のデータム直線に対する直角度
ここでは直線形体について「本」を例に説明します。

図3 直線形体のデータム直線に対する直角度平面イメージ
対象
・ 評価対象:本の「表紙の面」(平面形体)
・ データム直線:本の「背表紙のエッジ」
【直線形体データム直線に対する直角度直角度とは】
・ 本の表紙が、背表紙のエッジに対してちゃんと直角に貼られているかが「直角度」です。
・ もし表紙がナナメに貼られていたら、本を閉じてもキレイに閉まらずガタガタします。この場合は直角度が悪い状態です。
② 平面形体のデータム直線に対する直角度

図4 平面形体のデータム直線に対する直角度

図5 平面形体のデータム直線に対する直角度イメージ
対象
・ 評価対象(平面形体):本の「表紙の面」
・ データム(直線):本の「背表紙のエッジ」=ヒンジ部分の直線
【平面形体のデータム直線に対する直角度とは】
・ 表紙が少し浮いていたり、ナナメに開いていたりして、本を閉じたときにピタッと閉じません。
・ 積み重ねたときにガタついたり、製本不良に見えたりします。
これを規定するのが平面形体のデータム直線に対する直角度です。
ここまで説明したもののデータムは直線形体です。では、「直線形体または平面形体のデータム直線に対する直角度」の図面の例を示します。
中心軸にデータムおよび直角度を設定した場合を図示します。
この図面では横方向の円筒中心軸をデータムAとし、鉛直方向の円筒の中心軸は、データムAに対し直交方向に交わる0.05mmの平行2平面の中にあるという直角度を示しています(図面中に赤色で囲み表示)。

図6 直線形体のデータム直線に対する直角度の例(ZW3Dで2D図作成)
補足:データムAおよび垂直度0.01をそれぞれΦ132、Φ200の寸法線の延長線上に配置していますが、これには意味があります。このように寸法の延長線上にあるときは、寸法の中心、すなわちこの場合は、中心軸を示すことから、中心軸同士の幾何公差の関係を示すことになります。
次回も直角度について説明を続けます。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。

