JIS製図の幾何公差について一から解説。幾何公差のうち、姿勢公差に含まれる「直角度」について解説する。
どれくらい正確な直角なのか(2):機械製図道場(中級編7)
2025.06.09
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前回より「直角度」における「直線形体または平面形体のデータム直線に対する直角度」について説明しました。今回は、「直線形体のデータム平面に対する直角度」について解説します。
2. 直線形体のデータム平面に対する直角度
直線形体のデータム平面に対する直角度については、次の3種類があります。
① 一方向の直角度
② 互いに直角な2方向の直角度
③ 方向を定めない場合の直角度
① 一方向の直角度
【公差域の定義】(JIS原文)「その方向とデータム平面(PD)に垂直な幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの、2平面の間隔(f)で表す」

図1 直線形体のデータム平面に対する直角度(一方向)
JIS原文は難しいので、口語訳しました(筆者解釈)。
【口語訳】
「その向きとデータム平面(PD)に垂直な2枚の平らな面で、その直線の形をはさみ込みます。その2枚の面の間のすき間(f)で、その直線のばらつきを表します」。要するに、「直線の形がどれだけぶれているか」を見るために、その直線を上下(あるいは左右)から平らな板ではさんで、その板同士の間の幅でずれ具合を示しているというイメージです。
② 互いに直角な2方向の直角度
【公差域の定義】(JIS原文)「その2方向とデータム平面(PD)にそれぞれ垂直な2組の幾何学的平行2平面でその直線形体(L)を挟んだときの、2平面の間隔(f1、f2)(すなわち、2組の平行2平面で区切られる直方体の2辺の長さ)で表す」

図2 直線形体のデータム平面に対する直角度(互いに垂直な2方向)
【口語訳】
「その向きとデータム平面(PD)に垂直な2枚の平らな面で、その直線の形をはさみ込みます。その2枚の面の間のすき間(f)で、その直線のばらつきを表します」。要するに、「直線の形がどれだけぶれているか」を見るために、その直線を上下(あるいは左右)から平らな板ではさんで、その板同士の間の幅でずれ具合を示しているというイメージです。
③ 方向を定めない場合の直角度
【公差域の定義】(JIS原文)「データム平面(PD)に垂直でその直線形体(L)を全て含む幾何学的円筒のうち、最も小さい径の円筒の直径(f)で表す」

図3 直線形体のデータム平面に対する直角度(方向を定めない場合)
【口語訳】
「直線(L)をすっぽり全部包みこむような円筒のうちで、データム平面(PD)に垂直なものを考えます。その中でいちばん細い円筒の直径(f)で、直線のばらつきを表します」。つまり、「直線がどれだけぐにゃっと曲がっているか」を、PD面に垂直な細い筒で包んで、その筒の太さでずれを許す大きさを示す、というイメージです。
この例については実際の2D図面を以下に示します。この幾何公差値には「Φ」が記入されています。これは「直角度の方向を定めないこと」を意味しています。
【図面の解説】
「直径20mmの穴の中心の軸は、下の基準面(データムA)に対してまっすぐ立っていないといけません。この領域は、「直径0.05mmの細い筒の中にその軸が全部収まっていれば良い」ということを規定しています。
このような「穴の中心軸に対する直角度公差(例えば:直径0.05mmの円筒内に収まること)」は、穴が正しく真っすぐ加工されているか、組み立てでズレが起きないように規定したい場面に使用されます。
「公差域の方向性を定めるのか、定めないのか」について、設計者はその機能から判断する必要があります。
図4 直線形体のデータム平面に対する直角度(方向を定めない場合)の例(ZW3Dで設計) ※画像クリックで拡大します。
次回は、垂直度について説明します。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。


