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割れトラブルの原因究明法(4)応力集中源の調査:プラスチックの強度(42)

2025.06.11

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この記事は…

割れトラブルが発生したときの応力集中源の調査について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)


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応力集中とは、製品の形状変化部で局部的に応力が増大することである。応力集中源が起点になって割れトラブルが起きることが多い。


⁠応力集中すると平均応力よりはるかに大きな応力が発生する。図1は切り欠きのある試験片である。


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図1 切り欠き部形状


⁠試験片に平均引張応力σ0が作用すると、切り欠き底に発生する最大引張応力σmaxは、次式で表される(*)。


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⁠応力集中源の先端アールrが小さいと応力集中係数αは大きくなる。その結果、平均応力σ0に対して最大引張応力σmaxが著しく大きくなるため割れトラブルになりやすい。

⁠表に示すように、応力集中源にはクラック、鋭角コーナ、ウェルドライン、気泡、異物などがある。


⁠表 応力集中源の種類

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割れトラブルの原因を究明するには、割れが応力集中源から発生しているか調べる必要がある。


⁠クラック、鋭角コーナ、ウェルドライン、気泡は割れ発生位置を目視検査や拡大鏡で観察することができる。割れとの因果関係があれば製品設計や成形条件を改善する。


⁠成形品の異物には金属片、未溶融物、異樹脂などがある。破断面にこれらの異物が確認されればサンプリングして成分を分析する。

⁠金属異物は材料の製造装置や成形機に起因する場合がある。金属異物はX線マイクロアナライザー(EDX:Energy Dispersive X-ray)(注1)を用いて元素分析する。元素分析結果をもとに発生源を特定することができる。

⁠未溶融物は可塑化時の未溶融樹脂がそのまま成形されたときに発生する。未溶融部分をサンプリングして赤外分光分析(注2)することで判定できる。未溶融樹脂と判定されれば成形条件(成形温度、スクリュ回転数)を改善する。


⁠異樹脂は乾燥や成形工程で混入することがある。異樹脂をサンプリングして赤外分光分析して発生箇所を特定する。



⁠引用文献
⁠*成澤郁夫著、プラスチックの強度設計と選び方、p.31,工業調査会(1986)

(注1)細く絞った電子線を固体表面に照射すると、その表面から各元素特有の特定X線が放出されることで元素分析する方法。

(注2)ポリマー分子鎖はそれぞれ固有の振動をしている。ポリマーに赤外線波長を連続的に変化させて照射して得られる赤外線吸収スペクトルをもとに材質判定する方法。

(次回につづく)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数