結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの特性や用途について説明する。
材料選定(2)――結晶性プラスチックと非晶性プラスチック:プラスチック材料の基礎知識(36)
2025.07.14
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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結晶性プラスチックは結晶化していない部分(非晶相)と結晶化している部分(結晶相)からなるので半結晶性プラスチックとも呼ばれる。溶融状態から冷却するときに規則的に分子配列して結晶相を形成するが、分子が絡み合っている部分は結晶化できないので非晶相となる。
非晶性プラスチックは非結晶性プラスチックまたは無定形プラスチックとも呼ばれる。非晶性プラスチックは剛直な分子鎖、またはかさ高い分子鎖を有するので、冷却過程で規則的配列を取れないため非晶相のみとなる。
結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの種類を表1に示す。同表には実用温度範囲の目安を示している。実用温度範囲と両プラスチックの特性の違いを基に適切な材料を選択すればよい。

表1 プラスチックの種類
結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの特性の違いを表2に示す。

表2 結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの特性
① 透明性
非晶性プラスチックは結晶相がないので、自然色は透明である。透明容器類、計器カバー、光学レンズ、液晶導光板などには非晶性プラスチックが使用されている。
② 成形収縮率
非晶性プラスチックは成形時の体積収縮が小さいので、成形収縮率が小さい。
③ 寸法精度、寸法安定性
非晶性プラスチックは成形収縮率が小さく、後収縮も少ないので寸法精度や寸法安定性が優れている。
精密機器部品、光学部品などには非晶性プラスチックが使用されている。
④ 耐薬品性、耐ケミカルクラック性
結晶相には薬液が浸透しづらくクラックも発生しにくいため、耐薬品性や耐ケミカルクラック性は結晶性プラスチックの方が優れている。有機溶剤、油類、グリースなどが付着しやすい自動車、機械などの機構部品には結晶性プラスチックが使用されている。
⑤ 耐疲労性
結晶相は強固に分子間結合しているため、耐疲労性は結晶性プラスチックの方が優れている。歯車、カムなどのように繰り返し応力のかかる部品には結晶性プラスチックが使用されている。
(次回に続く)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
