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割れトラブルの原因究明法(5)残留ひずみ測定:プラスチックの強度(43)

2025.08.04

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この記事では…

残留ひずみの測定方法について解説する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)



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⁠残留ひずみが大きいとストレスクラック、ケミカルクラック、寸法変化、そりなどが発生する。なお、残留応力=残留ひずみ×弾性率であるので材料の弾性率が関係する。


⁠⁠(1)光学的測定法


⁠⁠透明プラスチック成形品の残留ひずみ測定法には光弾性縞観察法と複屈折測定法があるが、ここでは光弾性縞測定について説明する。光弾性縞観察法は2枚の偏光板を用いてクロスニコルの状態(光が透過しない状態)にして、透明成形品を両板の間に挟んで目視観察する。図1はポリカーボネート(PC)射出成形品の光弾性写真である(注1)。


⁠図(b)は縞模様が観察されるので、図(a)の方が残留ひずみは少ないと判定できる。

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図1 ポリカーボネート成形品の光弾性縞写真(注1) 成形品:円板形状(外径102mm、厚さ3mm)



(2)化学的測定法

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ケミカルクラック(CCと略す)が発生する性質を利用して、残留ひずみを測定する方法である。CCが発生しやすい薬液Aと発生しにくい薬液Bを用い、A液とB液の混合比率(体積比率)を変えてCC発生応力を段階的に変える。測定試料を各混合薬液に浸漬して、CC発生の有無を調べて残留応力を測定する。
⁠表はPC成形品の残留応力測定例である(注2)。


⁠A液はメチルイソブチルケトン(MIBK)、B液はメタノールを用いて測定した例である。この結果から残留応力は13~17MPaと推定できる。

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表 PC成形品の残留ひずみ測定例(注2)


⁠本法はCCが発生しやすいプラスチックに限定されること、火気や環境安全対策などに留意しなければならない。



⁠(3)ひずみ解放法


⁠⁠残留ひずみがある成形品から試片を切り出すと、ひずみが解放されて変形する。図2に測定例を示す。残留ひずみのある板状成形品から短冊状試験片を切り出すとそりが発生する。そり量から元の成形品の残留ひずみを相対的に評価できる。


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図2 試片切り出したときのひずみ解放例



⁠(4)加熱収縮法

⁠⁠残留ひずみがある成形品を加熱すると、ひずみが解放されると収縮するので、加熱収縮率を測定することで残留ひずみを相対的に評価できる。図3は金型温度を変えて成形したポリアセタール(POM)成形品の75℃、24hr処理後の加熱収縮率である(注3)。


⁠成形時の金型温度が低いほど加熱収縮率が大きくなることが分かる。


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図3 POMの金型温度と加熱収縮率(注3)



⁠引用文献
⁠(注1) 甲田広行、高分子化学、25(275)、 p.258(1968)
⁠(注2)三菱エンジニアリングプラスチックス、ユーピロン/ノバレックスカタログ成形編、
⁠p.21(2003)
⁠(注3) 三菱エンジニアリングプラスチックス、ユピタール技術資料、p.16(1994)


⁠⁠(次回につづく)

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数