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バイオプラスチック開発の背景:プラスチックの環境対応(1)

2025.09.10

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この記事は…

環境問題の課題解決の1つとして開発されたバイオプラスチックについて、開発の背景について説明する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)



⁠日中は太陽光線によって温度上昇するが、夜になると地表の熱は熱線(赤外線)となって放散する。温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)は放散される熱を吸収することで地球を温暖な気候に保つ役割を果たしている。しかし、最近では化石資源の多量使用によって過剰なGHGが発生し、気象異変による災害が頻発している。
⁠そのため、GHGの低減は地球規模の課題になっている。GHGには二酸化炭素(CO2)以外にメタン、窒素酸化物、フロンなどがあるが、CO2の排出量が圧倒的に多いので削減の主体はCO2である。


⁠化石資源に依存しないで自然と調和して生活することの大切さを石川英輔氏の著書「大江戸えころじー事情」から学ぶことができる(注1)。江戸時代は3000万の人々が太陽エネルギーだけで暮らした時代である。太陽エネルギーによって森林は光合成を行いながら成長する。植物の葉緑素が光エネルギーによってCO2と水から酸素、グルコース、澱粉、セルロースなどを作る。植物の光合成能力は大きく、葉の表面積1平方メートルにつき1時間に約1gのグルコースを作ることができる。江戸時代の人々の生活は燃料をすべて薪や木炭から得ていた。燃やせばCO2を発生するが、もともと光合成されたものであるのでCO2の収支はゼロである。まさにカーボンニュートラルの時代であった。


⁠稲作に必要な水は、海水や地表の水分が太陽の熱で蒸発して上昇し冷えて雨となって降ってきたものである。つまり、太陽エネルギーがポンプの役割をして水を吸い上げて循環させているのでCO2を増加させることにはならない。また、樹木は落葉すると昆虫が食べ、ミミズやダニが有機物に変える。さらにかびや細菌によって無機物に分解されることで栄養豊富な土ができる。これが雨水に蓄えられて川に流れ出して水田の稲を育てる。この米を食べて3,000万の人々が生活していた。今さら江戸時代の生活に戻ることはできないが、最近の気象異変を目の当たりにするにつけGHGを低減することの大切さを痛感する。


⁠プラスチックは軽量性、意匠性、加工性、生産性などの良さを生かして、日用品、農業資材、工業部品などへ応用範囲を拡大してきた。それに伴い生産量は増大し、今や世界全体の年間生産量は4億トンを超える規模に達している。


⁠製造工程では化石燃料を消費するのでCO2を排出する。また、製品寿命を終えても自然には還らず地球上に廃棄物として残り続ける。焼却処理すれば大気中のCO2を増加させる。


⁠図に示すように、1950年以降から2015年までの世界のプラスチック累積生産量は83億トンであり、そのうち廃プラスチック量は63億トンに達している(注2)。廃プラスチック処理の内訳は埋め立てや海洋投棄に約79%、焼却に約12% 、リサイクルは約9%である。このまま推移すれば2050年には環境投棄量や焼却量は累積でそれぞれ120億トン以上に達すると予測されている。

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 プラスチック廃棄総量と廃棄内訳量(累積値)※2
⁠(縦軸は原書のmillion tonを億トンに換算)



⁠これらの課題を解決する手段の1つとして、バイオプラスチックが開発されている。
⁠バイオプラスチックにはバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックがある。バイオマスはCO2を吸収して生育した植物などの有機資源(バイオマス)からつくられたプラスチックである。一方、生分解性プラスチックは廃棄段階で、ある条件下では微生物によって分解されるので廃棄物量の増加を抑制できる。生分解性プラスチックはバイオマス由来のものが主体であるが、化石資源由来のものもある。



【⁠引用文献

⁠1)石川英輔著、大江戸えころじー事情、p. 105~113、講談社 (2003)
⁠2)Geyer,R.,Jambeck,J.R.,& Law,K.L.: Production,use,and fate of all plastics ever made, Science Advances(2017)  

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本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数