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理想の輪郭線はどこ?――輪郭度:機械製図道場(中級編11)

2025.10.06

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今回の記事は…

JIS製図の幾何公差について一から解説。今回は「輪郭度」について説明する。

(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)



前回まで、 「データム(Datum)」を必要とする姿勢公差の5つの幾何公差のうち、「傾斜度」について説明してきましたが、今回は、「輪郭度」について取り上げます。

さて、この輪郭度ですが、設計現場でよく使われる真直度や平行度に比べ、輪郭度は少し影の薄い存在です。読者の皆さんの中にも「図面で指定されているのは見たことがあるが、実際に活用した経験はない」という方が多いのではないでしょうか。筆者自身もそう感じてきました。だからこそ、この公差の意味や使いどころを改めて整理していこうと筆者は考えます。


⁠輪郭度について、「JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示」(以下、JIS)によると、輪郭度には「線の輪郭度」と「面の輪郭度」が定義されています。まずは、線の輪郭度から解説します。



【公差域の定義】(JIS原文、以下同様)
⁠線の輪郭度 線の輪郭度とは,理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的に正しい輪郭(以下,幾何学的輪郭という。)からの線の輪郭の狂いの大きさをいう。
⁠なお,データムに関連する場合と関連しない場合とがある。


【口語訳】(筆者解釈)
⁠「線の輪郭度」というのは、本来あるべき正しい形(これを“理想の輪郭”といいます)から、実際にできた線がどれくらいズレているかを表す公差です。
⁠簡単にいえば、図面で決められたきれいな線の形と、実物の線の形との差を測るものです。
⁠また、このズレを決めるときには、基準(データム)を使う場合もあれば、使わない場合もあります。


上記に補足をすると、線の輪郭度は、曲面を構成する線要素(輪郭線)のバラつきを2次元の平面的な公差域で規制します。例えば、「意匠面(デザイン)などの曲面が、設計者の意図した通りにできているか」を指示する際に使用されます。指定の曲面を切断した断面の線が、公差域に含まれている必要があります。



図1の曲面の部分について輪郭度は何を示すのかをJISを参照して、図2のように図示しました。

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図1 線の輪郭度モデル(ZW3Dで作成)

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図2 線の輪郭度



⁠JIS原文には以下のような解説があります。

【公差域の定義】
線の輪郭度は、理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭線(Kr)上に中心を持つ同一の直径の幾何学的円の2つの包絡線で、その線の輪郭(K)を挟んだときの、2包絡線の間隔(f)(円の直径)で表し、線の輪郭度_mmまたは線の輪郭度_μmと表示する。
⁠ただし、理論的に正確な寸法は、データム線またはデータム面に関して与える場合と、それらと関係しないで与える場合とがある。


【口語訳】(筆者解釈)
⁠「線の輪郭度」というのは、図面で決められた“理想の線(幾何学的輪郭線)”を基準にして考えます。
⁠その理想の線の上に中心を置いた、同じ大きさの円を2本(外側と内側)描きます。
⁠そして、その2本の円の間に実際の線がすっぽり収まるとき、円と円の間隔(=直径の大きさ)が“線の輪郭度”になります。
⁠この大きさはミリメートル(mm)やマイクロメートル(μm)で表されます。


なお、理想の線の位置を決めるときには、基準となるデータムを使う場合もあれば、データムを使わずに与える場合もあります。


では実際の2D図面を示します(図3)。


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図3 輪郭度を示した図面(ZW3Dで作成)



⁠この図面が示しているのは、基準となる平面Aに対して垂直に切った断面で測った時、実際の輪郭線は直径0.1mmの円をもとにして作った2本の境界線の間に入らなければならないということです。


この境界の間隔が「公差域」であり、部品の寸法が許される範囲(98.8~100.2mm)の中であれば、公差域全体を上下に少し動かすことができます。さらに、この境界を作る円の中心は、半径150mmの理想的なカーブの上にあり、しかも基準となる平面Aに対して正しく配置されるよう決められています。


線の輪郭度は、直線や円のような単純な形ではなく、R形状や複雑なカーブが設計されている場合に、その「理想の線」から実際の加工品がどれくらいズレているかを管理するために使います。


⁠次回は「面の輪郭度」について解説します。

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土橋 美博(どばし・よしひろ)

⁠3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。