“補助金コンサル”ではなく、あくまで“経営コンサル”から見た補助金活用のあり方について、数百社もの経営コンサルや補助金サポートをしてきたエキスパートが語ります。
設備投資は手段であり目的ではない――補助金の種類と経営課題:補助金を活用した経営改善のススメ(1)
2025.11.06
この記事では…
(執筆:小島雅史/富山ビジネスマネジメント)
富山ビジネスマネジメント(tbm)の小島雅史と申します。中小企業の経営者を対象とした伴走型経営コンサルティングを提供してきました。これまで、500 社以上の経営コンサル、300 社以上の補助金サービスを支援してきています。単に補助金を獲得できればよいということでなく、企業経営の強化、成長につながることが大事だと思っています。
この連載では、補助金活用に解説しますが、あくまで“経営コンサル”から見た補助金活用のあり方についてお話していきます。しばらくよろしくお願いします。
補助金は、老朽化した設備を買い替えるためのものなのか
政府が中小企業基本法の見直しから、中小企業向けの各種の補助金や助成金サービスに力を入れだして、10 数年経過した。その時その時の時代背景に合わせて、補助金の形も変わりながら、多くの中小企業者の事業推進に補助金は活用されてきたのは事実である。
例えば、「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」といわれるものがある。従来は、「特定ものづくり基盤技術に伴う生産性向上に資するための設備投資」が対象という位置づけであったが、令和7年度(2025年度)からは、「革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化のための設備投資」と変更された。これまでのものづくり補助金の考え方では到底採択されないため、頭の切り替えが必要である。
今出ている主要な補助金を簡単に説明すると以下のとおりである。
- ものづくり補助金:新製品・新サービスの開発にむけて必要な設備投資
- 中小企業省力化投資補助金(一般枠):個々の企業の課題解決を行うことによる省力化を実現するためのオーダーメイドの設備投資
- 中小企業新事業進出補助金:既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資
- 省エネ補助金(設備単位型):高効率な設備やシステムの導入を促進し、電力や燃料の使用量を減らすことで、持続可能なエネルギー利用を目指す
さまざまな補助金が出ている中で、現状の自社の企業課題の解決に向けて、補助内容と募集されている時期・タイミングを見計らってマッチしたものを設備投資することが重要なわけであるが、実際はそうなっていないのが実情である。

特に製造業では、設備投資ありきの考え方が強い。自動化、省力化を行うことで、企業の体質強化を図り、収益性の高い会社を作る。それによって人員の増強や設備の更新が成り立つのである。
企業経営の目的は、利益の創出であり、設備投資はあくまで手段である。設備投資をしたからといって、どのくらいの生産効率が高まり、利益を生み出せるのかを真剣に考えていない経営者も多い。設備が老朽化したから、1000万円の補助金をもらって更新しようという安易な考えの下 で判断をしても経営の向上は図られない。筆者は、経営コンサルと補助金サービス支援の経験を生かして、この矛盾を解決すべく、経営者に助言を行っている。
「いま必要なのは設備投資の補助金なのか?」「利益を生み出す仕組みづくりなのか?」、あるいは「人づくりなのか?」「経営課題は何なのか?」――これらを整理した上で、必要な補助金を明確にして取り組むことをおすすめする。
自動化と無人化と AI とヒトとの関係は成立するか?
補助金獲得に向けてのキーワードに、自動化や無人化、AI といったものがある。確かに、これらを駆使した設備投資に関する申請書を書くことで、採択に近づくことになる。しかし、読んでいると、確かに素晴らしい取り組みではあるものの、企業経営、特に中小企業においては、現実性に乏しく夢物語であると言わざるを得ない内容が散見される。
部分的な省力化や RPA などは投資が比較的廉価に収まり、中小企業でも導入しやすい。しかしながら、それを段取りし、活用するのはヒト(社員そのもの)である。また、そのような
IT や DX に長けた人材を中小企業が確保するのは決して容易なことではない。だからこそ、設備投資だけではなく、そのような人材確保までを見据えての自社の経営課題であると認識したら、取り組む方向性は大きく変わる。
あくまでも設備投資は手段であって、目的ではない。
補助金獲得は、資金支援であって、経営改善の薬としては万能ではない、ここは経営者は絶対に抑えておかなければいけないポイントであると思う。(次回へ続く)
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プロフィール

小島雅史
1973 年生まれ。株式会社富山ビジネスマネジメント代表取締役社長。
本業の中小企業の経営者を対象とした伴走型経営コンサルティング業務を展開しながら、その一環として、単なる補助金獲得支援サービスではなく、企業経営の強化、成長を主目的とした補助金申請サポートを行っている。
これまで 500 社以上の経営コンサル、300 社以上の補助金サポートの実績あり。 https://www.tbm-g.net/

PlaBase編集部
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