プラスチックの溶解粘性の特性について解説する。
樹脂の成形特性(1) 1.3 溶融粘度:射出成形技術者向け! 成形不良対策塾 中・上級編(3)
2025.10.27
この記事は…
(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
>>前回の記事
流体は圧力が高い方から低い方に流れるが、そのときの流動抵抗が粘度である。電気に例えれば圧力は電圧、流動性は電流、粘度は抵抗に相当する。粘度の単位はポイズ(Pa・s またはpoise)である。この単位はポアズィユ(Poiseuille)という学者の名前に由来している。ポイズという単位をCGS単位で表すと以下である。

これを次のように書き直すと意味が分かりやすい。

単位の意味は単位距離(cm)を単位速度(cm/sec)で移動するのに必要な力(kgf)である。したがって、この値が大きいほど流体は動きにくい(流れにくい)ことを表す。
水や油のような流体では、粘度に関するニュートンの法則が成り立つ。

流体が流路内をせん断流動するとき壁面では流速は0であるので、速度勾配が生じる。図1に示すように流速の速度勾配をせん断速度と称している。

図1 せん断速度の概念
式(1)についてニュートン流体では粘度ηは一定である。プラスチックは非ニュートン流体であり、せん断速度が速くなると粘度は小さくなる特性がある。図2にせん断速度と粘度の関係を示す。

図2 せん断速度と粘度
プラスチックが非ニュートン流動する概念を図3に示す。せん断速度が遅いとポリマーは丸まった形態(ランダムコイル)をとろうとするが、せん断速度が速くなると流動方向に伸びた形態(配向)になる。その結果流動しやすくなるので粘度低下すると考えられる。

図3 せん断速度と粘度の概念図
また、プラスチックの溶融粘度は次の特性がある。
①分子量が高くなると溶融粘度は大きくなる。分子量が高くなるとポリマーの絡み合いが多くなるためである。
②温度が高くなると溶融粘度は小さくなる。温度が高くなるとポリマーの熱運動が活発になる。その結果絡み合いが解れやすくなるため溶融粘度が小さくなる。
(次回へ続く)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数

