JIS製図の幾何公差について一から解説。今回は「面の輪郭度」について説明する。
面の輪郭度:機械製図道場(中級編12)
2025.11.12
今回の記事は…
(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)
前回より、形全体をコントロールする輪郭度について解説を行っています。
筆者も使用経験は多くありませんが、輪郭度は、製品の「形そのものの正確さ」を表す幾何公差です。
例えば、設計で「このカーブをきれいな円弧にしたい」と思っても、実際の加工では少しずつズレが出ます。
その許容範囲を指定するのが「輪郭度」であり、そのメリットは以下です。
- 輪郭度について:単なる寸法公差(例えば±0.1mm)と違って、形状全体の誤差を評価できます。例えば円弧や自由曲面など、複雑な形状をまとめて管理できます。
- 設計意図を正確に伝えられる:「この面は滑らかに連続していてほしい」「この外形ラインは設計形状に忠実であってほしい」など、機能上重要な形状の要求をそのまま図面で伝えられるのが利点です。
- 寸法公差よりも柔軟に使える:複雑なカーブや3D形状は、寸法では表しきれないことが多いです。輪郭度を使えば、曲線・曲面でも精度要求が簡潔に表現できるのです。
- 測定が明確:3Dスキャナや三次元測定機を使えば、輪郭度の「ズレ量」がそのまま数値で確認できます。
測定基準が明確なので、品質保証にも適しています。
また、輪郭度は、以下のような時に使用します。
- 樹脂部品など、自由曲面が多い成形品
- 航空機や精密機器の空力・流体的に重要な形状
面の輪郭度とは
前回は線の輪郭度について解説しましたが、今回から面の輪郭度について取り上げます。
面の輪郭度
【公差域の定義】(JIS原文、以下同様)
面の輪郭度とは,理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう。 なお,データムに関連する場合と関連しない場合とがある。
【口語訳】(筆者解釈)
「面の輪郭度」というのは、設計図などで「理論的に正確な寸法」で決められている理想の形(理論的な輪郭)から、実際の面がどれだけズレているか、つまりどれくらい“くるっているか”を表すものです。
また、この輪郭度を評価するときには、基準となる面(データム)に関連づけて考える場合と、そうでない場合があります。

図1 輪郭度を示した図面(ZW3Dで作成)
以下の図2の図面には面の輪郭度が規定されています。

図2 輪郭度の2D図面の例(ZW3Dで作成)
図2では、「理論的に正確な寸法」としてR部の形状がR50とされています。この図面では、このRに対して2つの離れた平行2曲面の距離0.05mm以内に面があることを指示しています。
理論的に正確な寸法とは
幾何公差を使用するとき、この「理論的に正確な寸法」という語句を使用します。JISの中ではその定義としてJIS B0025-1998に以下の記載があります。筆者としては、経験からも以下のように解釈しています。
「理論的に正確な寸法」とは、公差を持たない寸法として図面上に設けられ、形体の位置・方向・輪郭といった幾何学的関係を正確に定義するための理想的な基準寸法値を示すものであり、寸法値は長方形の枠(□)で囲んで表します。
この「理想的に正確な寸法」は幾何公差(位置度や輪郭度など)によって許容される変動を規定し、±公差を付けて管理するのではなく、設計意図として理想的な位置や形状関係を伝えるために用いる寸法です。
線の輪郭度が任意の断面における線だったのに対し、面の輪郭度は2曲面間(2平面間)の領域となる曲面(平面を含む)、すなわち3次元空間を領域とします。
図3ではその2面間をモデルに対して示しています。

図3 輪郭度説明図(ZW3Dで作成)
「輪郭度」は、製品の“形”をどこまで理想に近づけるかという、設計者のこだわりを数値で表現するための重要な要素でした。しかし、形状の正確さだけでは、製品としての「組み合わせ」や「位置関係」は保証できません。
次回は、これらを制御する「位置度」について詳しく解説します。形と位置の関係を正しく理解することで、幾何公差の本当の力が見えてくるはずです。
土橋 美博(どばし・よしひろ)
3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。
