プラスチックの流動性の測定方法について解説する。
樹脂の成形特性(1) 1.4 流動性:射出成形技術者向け! 成形不良対策塾 中・上級編(4)
2025.11.19
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(執筆:本間精一/本間技術士事務所)
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流動性測定法にはメルトマスフローレイト(MFR)またはメルトボリュームフローレイト(MVR)測定法、溶融粘度測定法、流動長測定法がある。
MFR、MVF測定法
試験法はJIS K7210に規定されている。測定装置の概略を図1に示す。

図1 MFR、MRVの測定装置概略
予備乾燥した試料を各樹脂のJIS指定条件(荷重、温度)で加熱・溶融させた後に、ノズルからの押出量を測定する。MFRは時間当たり押出質量を10min当たりに換算した値(g/10min)で表す。MVRは時間当たりの押出体積を10min当たりに換算した値(cm3/10min)で表す。
MFR、MVRは金型内での流動長を表す値ではなく、同種プラスチックの流動性を相対的に比較するのに適している。
溶融粘度測定法
溶融粘度と流動性を示す流量の間には次式の関係がある。

Q:流量、K:流路形状によって決まる定数、ΔP:圧力損失、η:溶融粘度(せん断粘度)
上式の関係から、定数Kや圧力損失ΔPが同じ場合には流量Q(流動性)と溶融粘度ηは反比例する関係にある。したがって、溶融粘度ηは流量Q(流動性)を表す指標になる。
溶融粘度は細管粘度計(キャピラリレオメーター)を用いて測定する。装置は図1とほぼ同じ構造であるが、射出成形における射出圧や射出速度に相当する条件で測定できる。
予備乾燥した試料を加熱、溶融後に荷重や押出速度を変えてノズルから押し出す。そのときの押出量から計算によって溶融粘度を求める。射出成形時の成形温度やせん断速度領域における溶融粘度を測定できる。温度を変えたときのせん断速度と溶融粘度の概念を図2に示す。

図2 せん断速度と溶融粘度
実際には溶融粘度はCAE流動解析シミュレーションのデータベースとして利用されている。
流動長測定法
上述のCAE流動解析によらない場合には、肉厚と流動長の関係をもとにゲート位置やゲート点数を決める必要がある。完全充填できないときには肉増しするか、ゲート点数を増やさなければならない。肉厚と流動長を測定するにはスパイラルフロー型(渦巻形状型)やバーフロー型などの試験型を用いる。流動長の測定は試験型を射出成形機に取り付けて、プレート交換することで肉厚を変えて測定する。バーフロー型による肉厚と流動長の概念を図3に示す。

図3 バーフロー型と肉厚と流動長
流動長は成形温度、射出速度、射出圧などによっても変化するので、これら成形条件を変えて肉厚―流動長データを取得する。(次回へ続く)
本間 精一(ほんま・せいいち)
三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数
