PlaBase

バイオプラスチック開発例(3):――バイオポリエステル:プラスチックの環境対応(5)

2026.03.30

Image

この記事は...

バイオポリエステルについて説明する。

(執筆:本間精一/本間技術士事務所)

>>前回

バイオポリエステルにはバイオポリエチレンテレフタレート(PET)、バイオポリテトラメチレンテレフタレート(PTT)、バイオポリエチレンフラノエート(PEF)がある。


・バイオPET

バイオPETは植物由来原料と石油由来原料から作られた非生分解性バイオマスプラスチックである。

Image

図1 バイオPETの作り方

図1に示すようにサトウキビから作られるエタノールを原料としてエチレングリコール(EG)を作る。EGと石油由来 ジメチルテレフタレートまたはテレフタル酸と縮重合してPETを作る。物性は石油由来PETと同等である。飲料ボトルやフィルムとして、シャンプーなどの詰め替えパウチやレトルトパウチなどで環境対応を重視したいものに使用されている。また、繊維としては自動車シートや内装材に展開されている。


・バイオPTT

バイオPTTは植物由来原料と石油由来原料から作られる非生分解性バイオマスプラスチックである。バイオPTTはデュポン社が「ソロナ」という商品名で製造販売している(注1)。

Image

図2 バイオPTTの作り方

図2に示すようにサトウキビから発酵プロセスで1-3プロパンジオール(Bio-PDO)を作る。石油由来のテレフタル酸またはジメチルテレフタル酸と縮重合しPTT「ソロナ」を作る。物性はPETとポリブチレンテレフタレート(PBT)の中間的性質を有している。「ソロナ」の射出成形用はソロナEP、繊維用はソロナーポリマと称している。射出成形ではコネクター、各種ケースやハウジングに、繊維ではカーペット、アパレルへの展開が期待されている。


・バイオPEF

バイオPEFはすべて植物由来原料から作られる非生分解性バイオマスプラスチックである。Avantium社(オランダ)とBASF社(ドイツ)の合弁会社である Synvina社が開発を進めている。

Image

図3  バイオPEFの作り方

図3に示すようにサトウキビから作られるEGとトウモロコシなどから作られるフランジカルボン酸を重縮合して作られる全バイオPEFである。バイオPEFはバイオPETに近い特性を有しており、ボトルやフィルムに加工できる。ガスバリア性はPETより優れている。PETに比較して酸素バリア性は10倍、二酸化炭素バリア性は4倍、水分バリア性は2倍である。ただし、価格が高いことが課題である。


引用文献

(注1)内藤誠司、プラスチックスエージ、2008年11号、p.93~96,プラスチックスエージ社

Image

>>>>連載「プラスチックの環境対応」一覧

本間 精一(ほんま・せいいち)

三菱ガス化学、三菱エンジニアリングプラスチックスにおいてPC,POM,変性PPEなどの研究開発に従事。退社後は技術士事務所を開設。プラスチック全般の技術コンサルティングや執筆活動を行っている。著書には「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社)、「プラスチック材料大全」(日刊工業新聞社)、「設計者のためのプラスチックの強度特性」(丸善出版)他多数