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すり傷対策:設計で対策する成形不良⑤

2026.02.18

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この記事では…

設計において、成形時のすり傷の対策方法について解説する。

(執筆:落合孝明/モールドテック)

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成形品の表面に細かなスジや、すり跡のような傷が見られることがあります。これは製品の外観品質を損なうのはもちろんですが、場合によっては寸法精度や金型の寿命にも影響を及ぼすトラブルです。

今回は、この「すり傷」が発生するメカニズムと、その回避策について解説します。

 

擦り傷ができる原因:抜き勾配の不足

成形品の側面に擦り傷ができる最大の原因は、「抜き勾配」が設定されていない、あるいは不足していることにあります。


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左が抜き勾配のない状態の断面、右が抜き勾配のある状態の断面です。


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抜き勾配がない場合、型が開きときや成形品を突出したときに、金型の壁面と製品表面が強くこすれ続けます。型と成形品がこすれることで成形品の表面にすり傷がついてしまいます。

 

すり傷を回避する方法:適切な抜き勾配の設定

このトラブルを回避する最も確実でシンプルな方法は、製品の抜き方向に合わせた適切な角度である抜き勾配を付けることです。


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図のように抜き勾配をつけることで、金型が開いたときおよび成形品を突出したとき、ともに勾配があるために成形品と金型がこすれることなく離型することができます。

勾配は大きければ大きいほど離型が良くなり、成形品への傷が付かなくなります。とは言え、大きく角度を付けるのにも限度はありますので、成形品の大きさや樹脂の収縮率などによって最適な角度は変わってきます。一般的な平滑面であれば、最低でも 0.5°〜 1° 程度の抜き勾配を設けるのが定石です。

表面にシボ(模様)加工を施す場合は、特に注意が必要になります。シボの凹凸が金型に引っかかるため、シボの深さに応じて 3° 〜 5° 以上の大きな勾配が必要になることもあります。

いずれにしても 成形品が「型から抜ければいい」と考えるのではなく、「傷をつけずにスムーズに抜く」ために、設計の初期段階で最適な抜き勾配を盛り込むことが手戻りを防ぐ近道となります。

(次回につづく)

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>>>>連載「設計で対策する成形不良」一覧

著者

『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)

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落合 孝明(おちあい・たかあき)

1973年生まれ。株式会社モールドテック代表取締役(2代目)。デザインとエンジニアリングの両面から製品開発の支援をする設計屋。アイデアや現品からのデータ製作や製造手配まで製品開発全体のディレクションを行っている。文房具好きが高じて立ち上げた町工場参加型プロダクトブランド『factionery』では、第27回日本文具大賞機能部門優秀賞を受賞している。

著書:『金型設計者1年目の教科書』(日刊工業新聞社)『すぐに使える射出成形金型設計者のための公式・ポイント集』(日刊工業新聞社)『プラスチック製品設計者1年目の教科書』 (日刊工業新聞社)

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