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最大実体公差とは:機械製図道場(中級編15)

2026.03.23


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この記事では…

JIS製図の幾何公差について一から解説。今回は最大実体公差方式について説明をします。

(執筆:土橋美博/スワニーCIO、3D CAD推進者)


前回まで位置公差方式についてお話してきましたが、今回より「いかにその位置度公差を緩和できるか」という方法として最大実体公差方式について説明をします。

最大実体公差(MMR:Maximum Material Requirement)」という考え方があります。これは、部品に材料が最も多く存在する状態(最大実体状態)を基準にして幾何公差を考える方法です。まず「最大実体状態」という言葉から理解します。

① 最大実体とは何か

最大実体状態とは、「部品に材料が一番多く残っている状態、すなわち体積が最も大きい状態」のことを示します。ここで、軸部品と穴のある部品では、最大実体状態はどうなるでしょうか。

表1

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軸は太いほど材料が多くなります。逆に穴は小さいほど材料が多く残ります。

例えば、図1の部品Aでは、穴径の上/下の許容差(上:+0.2/下:+0.1)が規定されています。

上の許容サイズ:穴径Φ12.2mmの時、材料は最も少ない状態の最小実体状態となるので、最小実体サイズはΦ12.2mmとなります。下の許容サイズ:Φ12.1mmのとき、材料は最も多い状態の最大実体状態となるので、

最大実体サイズはΦ12.1mmとなります。

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図1 穴部品A:穴の中心の位置度と穴のサイズ公差(ZW3Dで作成)

図2の部品Bでは、軸径の上/下の許容差(上:-0.1/下:-0.2)が規定されています。上の許容サイズ:軸径Φ11.9mmのとき、材料は最も多い状態の最大実体状態となるので、最大実体サイズはΦ11.9mmとなります。下の許容サイズ:Φ11.8mmのとき、材料は最も少ない状態の最小実体状態となるので、最小実体サイズはΦ11.8mmとなります。

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図2 軸部品B:軸の中心の位置度と穴のサイズ公差(ZW3Dで作成)

穴と軸の最大実体状態について

  • 軸は軸径が最大で最大実体状態
  • 穴は穴径が最小で最大実体状態
  • 体積で考えてみると理解しやすい

②最大実体実効状態と最大実体実効サイズ

ここまでで、最大実体状態(MMC)と最大実体サイズ(MMS)について説明しました。

ここでは、もう1つ重要な概念である「最大実体実効状態」と「最大実体実効サイズ」 について説明します。

これらは少し難しく感じる言葉ですが、考え方はシンプルです。寸法公差と幾何公差を合わせて考えたときの、実際に機能へ影響するサイズを表しています。

穴の最大実体実効状態・最大実体実効サイズ

図1の穴部品について穴の1つに注目します。

この穴の中心には位置度公差Φ0.1mmが指示されており、穴の中心はこの位置度公差Φ0.1mm内のバラツキを許容しています。そのため、穴の中心は直径Φ0.1mmの円内に存在していることになります。

バラツキによって生じる穴の外形は、図3において破線で示しています。このとき、最大実体サイズΦ12.1mmの穴の外形は、Φ12.0mmの穴の外形の内側には入ってきません。この状態が最大実体実効状態であり、Φ12.0mmが最大実体実効サイズとなります。

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図3 穴の最大実体実効状態・最大実体実効サイズ

軸の最大実体実効状態・最大実体実効サイズ

まずは、図2の軸部品の軸の1つに注目してみます。

この軸の中心には位置度公差Φ0.1mmが指示されており、軸の中心はこの位置度公差Φ0.1mm内のバラツキを許容しています。そのため、軸の中心は直径Φ0.1mmの円内に存在していることになります。

バラツキによって生じる軸の外形は、図4において破線で示しています。このとき、最大実体サイズΦ11.9mmの軸の外形は、Φ12.0mmの軸の外形の外側に出ることはありません。この状態が最大実体実効状態であり、Φ12.0mmが最大実体実効サイズとなります。

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図4 軸の最大実体実効状態/最大実体実効サイズ

これらの部品(図1と図2)の「穴と軸のはめ合い」については、次回お話します。




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土橋 美博(どばし・よしひろ)

⁠3D CAD推進者。1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置企業でメカ設計・営業・3D CAD推進に従事。2014年にフラットパネルディスプレイ製造装置を主に開発設計製造を行う企業に入社。これまでの3次元CADの経験を活かした現場発信のデジタルプロセスエンジニアリング推進活動を行いながら、CAEも担当。長野県南信工科短期大学校で非常勤講師として機械設計製図の教育も行っている。